アジア記者クラブ


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昭和天皇の戦争の何が消されたのか
『実録』の隠されたメッセージ


■日時:2017年9月28日(木)18時45分〜20時50分
■受付時間:18時15分〜
■会場:明治大学研究棟4階 第1会議室/★要予約(定員50名)
(東京都千代田区駿河台1-1)
■アクセス:JR「御茶ノ水」下車/地下鉄半蔵門線・都営三田線「神保町」下車)
■主催:アジア記者クラブ(APC)
■資料代:1500円/会員1000円/明大生無料(要予約)
■ゲスト:山田朗さん(明治大学教授)

 昭和天皇の活動記録を宮内庁が24年かけて編纂した『昭和天皇実録』が同庁から刊行されて9月で丸3年になります。昭和天皇は訪米後の1975年10月、記者団から戦争責任について問われて、「そういう言葉のアヤについては、私はそういう文学方面はあまり研究していないので、よくわかりません」と答えたことが今も語り草になっていますが、この実録によって、日中戦争から敗戦までの間、天皇が統帥権の総攬者として、軍部を叱咤激励し、戦争指導を積極的に行っていた実態が明らかになりました。
 9月定例会は、今年1月に『昭和天皇の戦争』(岩波書店)を上梓された山田朗さんをお招きします。山田さんは、戦争の歴史を解明する上で、この膨大な実録が公開された意義を強調する一方で、重要な軍事戦略を決定する大本営会議などでの昭和天皇の発言や意思決定過程が巧みに割愛されていることを指摘しておられます。これは戦争の回避を願いながら軍部の横暴に引きずられた悲劇の主人公、平和を志向した昭和天皇像が実像なのか否かに関わる、邦字メディアでも菊のタブーになってきた部分でもあります。
 なぜ今、実録が公開されたのか、何が消されたのかを中心に昭和天皇の戦争を検証したいと思います。

 



★予約⇒お名前、所属、会員の有無、Eメール、電話番号を記載の上、配布資料の準備の関係上、必ず2日前までにEメール(apc@cup.com 宛)でお申込み下さい。返信メールでの承認がなかれば参加できませんので注意願います。






2001年以降の定例会

  • 2017年8月 元TBS記者のレイプ疑惑、何が問題なのか 問われるべき旧態依然の性意識、官邸の関与(太田啓子/弁護士)

  • 2017年7月 なぜ歴史認識が日中の政治対立に発展するのか 日中全面戦争80年の意味を問う(伊香俊哉/都留文科大学教授)

  • 2017年6月 沖縄で中立な報道があるのか 取材現場で写真家が逮捕される時代を問う(島崎ろでぃー/写真家・報道カメラマン)

  • 2017年5月 米朝対立、朝鮮半島危機をどう見るのか 政府の対北政策、邦字報道を検証する (武貞秀士/拓殖大学大学院特任教授)

  • 2017年4月 朝日新聞阪神支局襲撃事件から30年 赤報隊を生んだ時代状況は変わったのか(樋田毅/朝日新聞社大阪秘書役)

  • 2017年3月 日中戦争・盧溝橋事件から80年 あの戦争は、中国・朝鮮蔑視から始まった(田中宏/一橋大学名誉教授)

  • 2017年2月 国立元市長への個人賠償確定を考える 景観保護が営業妨害なのか(上原公子/元国立市長)

  • 2017年1月 朝日赤報隊のwam「爆破予告」と日本社会 歴史認識の否定が深めるアジアでの孤立(池田恵理子/アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館-wam」館長)

  • 2016年12月 本土の記者は沖縄をどう伝えてきたのか 「基地問題」「沖縄差別」に応えて(川端俊一/朝日新聞記者)

  • 2016年11月 尖閣での日中衝突は起こりうるのか 中国脅威論と翼賛報道を検証する(岡田充/共同通信客員論説委員 趙宏偉/法政大学教授 村田忠禧/横浜国立大学名誉教授)

  • 2016年10月 緊迫するスーダン情勢を考える 自衛隊は火中に飛び込むのか(栗本英世さん/大阪大学教授  栗田禎子さん/千葉大学教授)

  • 2016年9月 メディア最大のタブー日米同盟を検証する 辺野古新基地建設と今も生きる核密約(春名幹男さん/早稲田大学客員教授)

  • 2016年8月 政治主導の武器輸出は成功するのか 稲田防衛相就任で何が変わる(望月衣塑子さん/東京新聞社会部記者)

  • 2016年7月 南シナ海領土紛争を多角的に検証する 国連の仲裁は公正なのか(矢吹晋さん/横浜市立大学名誉教授)

  • 2016年6月 沖縄と本土の溝は埋まらないのか 日本人と本土メディアが直視すべきこと(新垣毅さん/琉球新報社・東京支社報道部長)

  • 2016年5月 戦後政治を終わらせることができるのか 参院選を前に考えておくべきこと(白井聡さん/京都精華大学教員)

  • 2016年4月 沖縄の米兵の性暴力は根絶できるか 米兵事件の被害者が実名で語る(キャサリン・ジェーン・フィッシャーさん)

  • 2016年3月 OurPlanet-TVが伝えたフクシマの5年間 非営利メディアだからできること(白石草/OurPlanet-TV代表)

  • 2016年2月 ベトナム戦争から40年後の現実(中野亜里さん/大東文化大学教授)

  • 2016年1月 ハンギョレが見た安倍政権と日韓関係(吉倫亨さん/ハンギョレ・東京特派員)

  • 2015年12月 日本占領期インドネシアの実像に迫る 戦時性暴力被害、開発独裁と日本(倉沢愛子さん/慶応大学名誉教授)

  • 2015年11月 マスメディアは生き残ることができるのか(青島顕さん/毎日新聞社会部記者・金井辰樹さん/東京新聞政治部長・徳山喜雄さん/朝日新聞記事審査室幹事)

  • 2015年10月 メディアは新自由主義に立ち向かえるのか 日本の極右政権を許容する米国の意図(中野晃一さん/立憲デモクラシーの会・上智大学教授)

  • 2015年9月 テレビ朝日は安倍政権の圧力に屈したのか(岩崎貞明さん/元テレビ朝日記者・『放送レポート』編集長)

  • 2015年8月 朝鮮から「戦後70年」を問い直す 「140年戦争」という視座から(愼 蒼宇さん/法政大学准教授)

  • 2015年7月 東アジアの分断と和解 日中韓朝ロの平和と協調から見えてくる潜在力 (羽場久美子さん/東アジア共同体評議会副議長)

  • 2015年6月 日中間の戦争記憶の乖離はなぜ生まれたのか(長井暁さん/ジャーナリスト)

  • 2015年5月 ボリバル革命17年の歩みを語る ベネズエラは米国の脅威ではない(セイコウ・イシカワ閣下/駐日ベネズエラ・ボリバル共和国特命全権大使)

  • 2015年4月 習近平政権の強硬外交をどう読むのか 反中ナショナリズムと日中関係の危機(矢吹晋さん/横浜市立大学名誉教授)

  • 2015年3月 沖縄戦から70年 県民の犠牲は無駄だったのか 辺野古への新基地建設と安倍政権の暴走(糸数慶子さん/参議院議員・沖縄社会大衆党委員長)

  • 2015年2月 東京新聞は総選挙をどう報じたのか 論点明示報道と新聞の可能性(瀬口晴義さん/社会部長、吉田昌平さん/政治部デスク)


  • アジア記者クラブ(APC)への入会方法

    紙版購読会員の年会費1万円、PDF版購読会員の年会費5千円(海外在住者は、通信はPDF版のみ)を郵便振替で下記までご入金ください。所属、入会のきっかけ、Eメールアドレスを書き添え願います。『アジア記者クラブ通信』(全頁カラーのPDF版か紙版)が毎月送付されます。

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    アジア記者クラブ(APC)の目指すもの

    記者会見と記者室の完全開放を求め、全ての取材者に開放された報道センターの設置をアジア記者クラブは提案します。

    既成メディアによる歪曲報道、情報操作、本質を隠す煙幕報道の実態を「アジア記者クラブ通信」(会報)上で明らかにし、批判的に検証します。

    世界のオルタナティブメディアの動向を積極的に紹介し、既成のメインストリームメディアとの違いが相対的に理解できるようにします。読者や視聴者が賢くなるためのメディアリテラシー向上に努めます。

    市民の側に立ったジャーナリストを、企業内、個人、研究者、有志を問わず組織し、連携できるネットワークを構築します。

    オルタナティブな視点をもった民衆のための新しいメインストリームメディアの創出を提案します。





    特集:メディア不信の根源に迫る〜存在しなかったサリン弾・緊迫するベネズエラ情勢・迷走する北朝鮮報道

    「アジア記者クラブ通信」5月(294)号

    ■2月定例会リポート(2017年2月23日)
    国立元市長への個人賠償確定を考える
    景観保護が営業妨害なのか
    上原公子(元国立市長)


     米軍普天間飛行場の辺野古移転計画に伴い、名護市辺野古に新設される飛行場建設をめぐり、県民とともに反対している翁長雄志沖縄県知事に対して国が損害賠償訴訟を検討していると報じられ、提訴すれば恫喝的「SLAP訴訟」になるのではないかと批判の声も上がっている。東京・築地市場の豊洲移転問題では、かねて住民が都に求めていた石原慎太郎元都知事への580億円の損害弁済請求訴訟が、都側の対応転換によって成り行きが注目されている。自治体首長の行政行為や政治行動は損害賠償になじむものなのか。昨年12月、東京都国立市での高層マンション建設規制と同業者側の反発に始まった訴訟の第二段で、同市に対して3100万円の賠償を支払う判決が最高裁で確定した元市長の上原公子さんに、この裁判と判決が地方自治に及ぼす「意味」を語っていただいた。(編集部)


    【ベネズエラ】
    ベネズエラの騒乱拡大へ
    クーデター策す黒幕とは
    米国務省と国際金融資本
    ミシオン・ヴェルダー(真実のミッション)


     欧米主流メディアによれば、ベネズエラ全土に騒乱状態が拡大し、同国の人道危機は深刻化しているという。マドゥーロ政権による独裁政治によって社会は分断され、経済政策の失敗によって国民経済は破綻に瀕していると邦字メディアも転電を繰り返してきた。本稿は、米国の“裏庭”で米国の意に逆らって、チャベス政権によって自国の独立と尊厳を取り戻したベネズエラに襲いかかる米国のクーデター計画の全貌と騒乱の真相を明らかにする。米国の石油資本と金融資本が外交問題評議会(CFR)に資金提供し、黒幕としてCFRを後ろ盾にしながら米南方軍に作られた混沌を演出させ、国務省が米州機構(OAS)を使って情報操作とクーデターを実行している実態を筆者は告発する。このベネズエラ情勢を歪めて報道しているのは、紛れもなくトランプ政権からフェイク・ニュース呼ばわりされている欧米主流メディアなのである。(編集部)


    【ベネズエラ】
    ベネズエラのOAS脱退
    メディアが伝えない真実
    記者の読者への背信続く
    テレスール


     サンパウロに駐在する中南米担当記者が、ロイター通信やAP電を引用して、ベネズエラ情勢を「マドゥーロ政権の独裁化が加速する」と何の問題意識もなく記述する。あるいは、ニューヨーク駐在の記者が米国メディアから米政府の意を代弁するかのごとく転電する。ベネズエラ政府が先月行った米州機構(OAS)からの脱退表明を伝える邦字報道の典型的パターンがこれだ。野党が支配する議会での最高裁との攻防、街頭で広がる破壊工作が民衆に支持されていない実情、野党が軍にクーデターを呼びかけ、そこに野党を擁護するようにOASが介入していることや、OAS内で右派諸国がクーデターを起こしてベネズエラ非難決議を弄したことをメディアは報道しない。米国に本部を置くOASは、選挙で民主的に選出されたチリのアジェンデ社会主義政権に対する国境封鎖を実施して同国の物流を麻痺させる“破壊工作”に加担した過去をもつ。本稿は、本通信でホイットニー・ウェブが指摘触しているように、報道機関自らが「視聴率や需要がかつてなく低迷している」理由を作り出していることに無頓着で、読者への背信を記者が続けている深刻さを認識させる。(編集部)



    【シリア】
    存在しなかったサリン弾
    WHRの情報操作を暴露
    シリア戦争煽るメディア
    テオドール・ポストル(マサチューセッツ工科大学名誉教授)


     シリア北西部イドリブ県のハーン・シェイフンで4月4日、シリア政府軍によってサリン弾が使用されたとセンセーショナルに報道されたことは記憶に新しい。この何の証拠もない段階で英仏独日政府は、アサド政権が化学兵器を使用したと決めつけ、米軍のシリア空爆を支持した。この間、マスメディアは一貫して各国政府の広報の役割を果たしてきた。本稿は事件当日、地上と上空から撮影された静止画と動画、風向きや太陽光、温度などの気象データ、サリンなどの残留化学物質の影響を時系列で綿密に検証し、ホワイトハウスのインテリジェンスレポート(WHR)の記述が証拠と全く矛盾する虚偽の主張であることを証明した報告書となっている。MITで化学兵器や生物兵器を含む大量破壊兵器に関する講座を担当してきた筆者は、証拠とされる映像の多くが商業用映像を多用した継ぎ接ぎであることを指摘した上で、サリン弾が投下されたとされるクレーターを撮影した多くのジャーナリストが隣接した地域で発生したであろう犠牲者の取材は全く行っていない謎を問い、主流メディアが政府の主張と相反する事実を伝えなくなっている現状を、民主的統治のメカニズムがいかに機能不全となってしまったかを示す最大の指標だと警鐘を鳴らす。(編集部)


    【メディア】
    大量虐殺を隠蔽する
    アルジャジーラ、CNN、BBC
    シリア戦争とメディア
    ホイットニー・ウェブ(ジャーナリスト)


     6年目を迎えたシリア戦争ほど、企業内あるいは個人を問わず、ジャーナリストによって歪めらて伝えられてきた戦争報道はかってなかったはずだ。本稿は、邦字メディアが転電の情報源にしてきた欧米主流メディアが、いかに露骨に事実を捻じ曲げ、怪しげな2つの情報源だけに依拠しているのか、絶えず反政府勢力が犯した虐殺行為などの罪を粉飾してきたのかを告発する。筆者は、シリア戦争について、報道機関が決定的に重要な事実を切り捨て、偏った報道が常態化している現状に触れ、主流メディアの視聴率や需要がかつてなく低迷していることは少しも不思議なことではないと結論づけている。(編集部)



    【シリア&北朝鮮】
    “北朝鮮との対峙”は煙幕
    米の真意はシリア再侵攻
    ロシア次第で戦火拡大も
    マイク・ホイットニー(エコノミスト、ジャーナリスト)


     これまでの米朝対立の次元を越えて、北朝鮮への攻撃的姿勢と圧力が際立ったトランプ政権。その真意はどこにあったのか? 本稿は、米国の最終目標があくまでアサド政権の打倒と石油資源の豊富なシリア東部の分離にあり、ワシントンが北朝鮮に対して怒りを爆発させてきた全ては、国防費の追加と浪費、さらにはTHAADミサイル配備の正当化を目論んだサーカスの見世物の一幕にすぎず、現在ヨルダン国境で進められているシリア侵攻の兵力増強から目をそらせるための煙幕であると説く。筆者は、サリン弾使用を口実とした米軍のシリア空軍基地空爆の意図がプーチン大統領が進める中東和平交渉を頓挫させることにあると見抜き、シリア再侵攻が開始された場合のプーチン大統領が取るべき選択肢を提示する。(編集部)



    【北朝鮮】
    昨年の中朝関係を総点検
    両国関係は悪化したのか
    冷静なロシアの観察眼
    コンスタンチン・アスモロフ(ロシア科学アカデミー極東研究所/朝鮮研究センター主任研究員)


     米国に同調して圧力を加えているとした朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)による中国を名指しにした批判が大きなニュースになっている。中朝間の不協和音は、冷戦崩壊後の1992年に中韓国交樹立が行われて以降、燻り続けてきた。それでも形式上の同盟関係は解消されなかった。米韓合同軍事演習が毎年繰り返されるたびに、ミサイル発射訓練と核実験で圧力に屈しない姿勢をDPRK指導部は示してきた。本稿は、これまでになく朝鮮半島危機の緊張が高まった今春、中国が国連制裁決議に従って、石炭の輸入などDPRK経済に打撃を与える制裁に踏み出した背景をロシア側の視点から探った総括記事である。筆者は、この1年間の中朝関係を振り返りながら、中朝貿易の推移、対北制裁の実態を数字を上げて、何がデマで何が真実かを整理する。その上で、今春も中朝間の実務者協議が行われ、米韓の定期合同演習の停止に呼応してミサイル発射計画を凍結するとの提案が、ここ数年ほどDPRK代表団から提起されていたことを明かしている。中国の外交方針、緊張緩和の糸口ははっきりしている。(編集部)


    【北朝鮮】
    NPT条約無視する米国
    北の核開発批判は偽善だ
    濡れ手に粟の核兵器投資
    カーラ・ステア(地政学アナリスト)


     本稿は、核兵器禁止条約の制定に向けた初の交渉会議をボイコットした米英仏韓4カ国の行動が明確に核拡散防止条約第6条に違反していることも含め、北朝鮮がせん滅される危険から自国を防衛するため核兵器を所持しようと取り組んでいるのを非難する米英など西側諸国が演じている大きな偽善行為の数々を批判した国連からの報告である。国連の制裁や核軍縮問題に精通した筆者は、非核兵器保有国への核兵器の移転を禁じた核拡散防止条約第1条に明確に違反して、米国が北大西洋条約機構(NATO)5カ国に核兵器を持ち込んでいる事実に西側諸国が沈黙を決め込み、条約違反が野放しになっていることを告発する。筆者は、核兵器への投資が巨額の利益をもたらす経済システムにも言及した上で、世界にとって最優先すべきは米国の核軍縮だと説く。(編集部)



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    特集:オルタナティブメディアとジャーナリズム

    世界のオルタナティブメディアの躍動を伝えるシリーズ

    ■軍事クーデターの標的にされたテレスール
    世界の進歩的な人々を惹きつける放送局を語る
    グレゴリー・ウィルパート(テレスール英語放送ディレクター)
    マイケル・アルバート(Z magazine 創刊人)


     中東カタールの衛星放送局アルジャジーラにヒントを得たチャベス大統領の後押しでベネズエラのカラカスに衛星放送局テレスールが開設されてから今年で10年になる。欧米の報道機関、とりわけCNNスペイン語放送の情報独占に対抗することが急務で、「米国主導の政治機構のレンズを通して形成されてきた」歪んだ情報を正す必要があったからだ。昨年7月からは待望の英語放送が始まった。アルジャジーラが国王による編集権への介入を受けて、「世界を支配しようとする米国や西欧諸国の取り組みを暴くこと」を忌避する中で、英語放送のディレクター、ウィルバートはインタビューに答えて、テレスールの役割と目標に加え、「進歩主義的なウェブサイトやその他の報道機関との将来の協力合意が西側主流メディアの対抗メディアにとって極めて大事になる」と明言する。本稿の後半には、2月中旬にベネズエラで摘発された軍事クーデターの攻撃目標に、マドゥーロ大統領ら政権首脳の殺害と合わせて、テレスールが含まれていた謀議を告発するカベージョ国会議長の報告を併載した。(編集部/3月・270号)



    ■ネムツォフ殺害はCIAの犯行と見よ   暴走を続ける米諜報機関
    ポール・クレイグ・ロバーツ(エコノミスト)


     レーガン政権下の財務次官補でエコノミストの筆者は、2015年2月28日、モスクワで起きたプーチン大統領の政敵、ボリス・ネムツォフの殺害事件を巡り米欧の主流
    メディアがプーチン非難の大合唱を繰り広げる中、「殺害はCIAの犯行」と断定的に語る。米政府と深くつながっていたネムツォフの暗殺は、約半世紀前のケネディ暗殺に象徴される、コントロール不能となったCIAの暴走の一環とみるのだ。極めて短いものの、本稿は米国が覇権を掌握した後の現代世界での最も深刻な病巣の1つを抉っている。ケネディの前任者アイゼンハワーが大統領退任にあたり「軍産複合体が米国を蝕む」と警告したが、1970年代にはチャーチ委員会(情報活動調査特別委員会)を筆頭に米上院委員会は米国の政府や議会がCIAやFBIなど諜報機関への制御能力を失ったと警告を発した。実際、CIAなどはテロ戦争を口実に世界中で体制転覆、政治殺戮、テロを歯止めなく繰り広げている。本稿はネムツォフ殺害事件への重要な視座を提供する。(編集部/3月・270号)



    ■平和賞受賞者マララ・ユスフザイは社会主義者だ
    タブー視する西側メディア
    ベン・ノートン(アーティスト)


    パキスタンでは青年層を中心にマルクス主義への共感と社会主義運動が急速に高揚している。西側メディアがこれを積極的に報じることは決してない。ましてや2014年のノーベル平和賞を受賞した17歳のパキスタン人女性、マララ・ユスフザイがマルクス主義を「抑圧からの解放の真の武器」とみなし、支持層を拡大するパキスタン労働党の今年の党大会に熱烈なメッセージを送ったことをほとんどタブー扱いしている。筆者は既成メディアがマララの受賞理由を「教育こそ唯一の解決手段」との訴えに矮小化しており、パキスタン人ヒロインの実像の黙殺に抗議する。同時に、ホワイトハウスの執務室で米大統領が署名、指揮して実行されていると言われる米軍の無人機による爆撃がいかに多数のパキスタンの一般住民を殺害し、罪亡き人々の悲痛な訴えが無視されているのを厳しく糾弾する。(編集部/11月・267号)



    ■非西側陣営の記者は政治殺戮の標的となる
    「報道の自由」という偽善 
    エリック・ドレイツァー(独立地政学アナリスト)


    西側陣営に属さない記者ばかりか、米国主導の世界秩序の内幕を鋭く暴く記者は政治殺戮の標的となる。この指摘は、生活保守意識と右傾化が加速するばかりの日本社会では今や「極左のたわごと」と一蹴され、西側メディアの“国際記者”の多くもこれにお墨付きを与えそうだ。本稿で紹介されている非西側陣営のジャーナリストの死が政治的な抹殺であるのは紛れもない事実と断言できる。米政府は米軍特殊部隊、あるいはその訓練を受けた現地の軍・警察や民兵組織を動かして、日々「反抗する」記者たちを抹殺している。筆者はこれを米国のダブルスタンダードと批判するが、「カラー革命」と呼ばれる体制転換とそれに向けた政治工作はその延長線上にある。本稿は非西側世界の視点に立って、「言論・報道の自由」を再考する機会を付与している。(編集部/10月・266号)



    ■「第4の権力」はほとんど有名無実で機能せず
    プロパガンダ代行する報道機関
    ジョン・ピルジャー(ジャーナリスト)


    本稿は近現代の商業メディアの抱える宿痾(しゅくあ)、あるいはジレンマに真正面から切り込んだ秀逸なメディア論である。エドマンド・バークが18世紀にジャーナリズムを「第4の権力(Fourth Estate)」と定義したのに依拠し、かつて“戦後民主主義の旗手”を自称した日本の記者らは「メディアの任務は権力の監視だ」とことあるごとに語った。だが、その任務遂行に立ちはだかるは2つの大きな障害物があった。1つは言うまでもなく、既存メディアの経営が収入面で広告主(資本)に過剰に依存していること。もう1つは記者クラブという存在が象徴するように主流メディアを権力層に取り込んでしまう巨大なシステムが戦前から構築されていたことだ。筆者は該博な知識を駆使しつつ、イラク戦争をはじめさまざまな現代の欧米メディアの報道ぶりを批判的に紹介して、「我々が今必要としているのは第5の権力だ。プロパガンダを監視、解体し、それに反対して、若者たちに権力者にではなく、一般の人々に奉仕することを教えるジャーナリズムが必要」と訴える。(編集部/1月・268号)


    ※本文は通信上でお読み下さい。





    特集:ベネズエラ情勢・軍事クーデター未遂2月事件

    詳細な情勢分析を邦字で唯一伝える情報源

    ■テレスールの記者が語る“政府転覆”工作の真相
    メディアが伝えなかったベネズエラ反政府暴動の内情
    ライアン&タマラ(テレスール記者)


     2月に軍事クーデターが摘発されたべネズエラでは1年にわたって騒乱が続いてきた。政府による政治的抑圧や民衆の経済的不満から“平和的”抗議デモが続き、それを治安部隊が弾圧、死傷者が出ているという形で国際メディアは報じてきた。本稿は実際にベネズエラの路上でこの1年間、政府転覆工作がどのように展開され、治安部隊や政府支持者の死傷者が、逆に政府による弾圧の犠牲者にすり替えられていったかをテレスールの記者2人が取材し続けてきた報告と分析である。ここでも失われる必要のなかった市民や治安部隊員の生命が工作の犠牲になった。この一連の騒乱ではソーシャルメディアが多用され、ブルガリアの治安部隊や米国のポルノサイトの暴力場面がベネズエラの治安部隊の暴力場面だと一斉に流用され、それを国際メディアが転電するという“役割分担”が繰り返されたことも特徴だった。報道が政府転覆工作に加担する構図が出来上がっていたのだ。この国際メディアの報道を転電することに終始し、街頭に出ても政府への不満を聞きかじるだけの邦字メディアの報道は、もはや犯罪的であるとしか言いようがない。(編集部/3月・270号)


    ■ベネズエラ・ボリバル共和国に対する継続的クーデターの枠組の中で起こされた新たな行動とアメリカ合衆国の干渉に対して、ニコラス・マドゥロ大統領が国内および国際社会に向けて発表した声明(2015年2月13日)

     ニコラス・マドゥロ、ベネズエラ・ボリバル共和国大統領は、民主的に設立された政府を転覆しようというベネズエラの右翼と外国勢力の行為を2014年以来非難してきた。ベネズエラの民主主義に対する暴力的な攻撃は、極右の勢力が行っている。彼らの目的は、民主主義制度の安定を脅かし、わが国で過去15年間に実施された各選挙で継続的に承認されてきた国民の意思を無視して自分たちの計画を強制しようというものである。(以下声明全文)(編集部/3月・270号)


    ■「孤立しているのはベネズエラでなく米国だ」
    米キューバ国交正常化の背景を問う
    ウィリアム・カマカロ(COHAのアナリスト)
    フレデリック・B・ミルズ(ボウイー州立大学教授)


     米国の喉元に突き刺さる棘で「不倶戴天の敵」とされていたキューバとオバマ米政権との国交正常化の動きが急進展しており、それをどう読むかが論議の的となっている。本稿は「米国がキューバとの国交を回復へと動くのと同時にベネズエラに新たな制裁を科したことで、米国の戦略が全般的に変更されたのではないことが判明した」と説明。その上で、南北アメリカ全域の地政学的観点からは孤立し焦っているのは米国であり、米国の動きがベネズエラを中核とする南米諸国の結束をかえって強固にしているとみる。また一時「世界最大の産油国」米国のシェールオイル革命への対抗策との説明が流布されたサウジアラビア主導の石油輸出国機構(OPEC)の原油価格下落の放置説は偽情報で、真の狙いは米・サウジ共同のベネズエラ、ロシア、イランなど反米産油国の経済破綻工作とみる。とりわけ、ボリバル革命運動、すなわち米国支配に抗する南米全域の連帯運動を主導するベネズエラの体制転換こそワシントンの焦眉の課題であると解説する。(編集部/2月・269号)


    ■ベネズエラ体制転換への米国の策動が加速
    繰り返される「覇権国」の政略
    ニル・ニカンドロフ(ジャーナリスト)


     反米主義を毅然と掲げた稀に見るタフな指導者だったチャベス前大統領の死を受け、CIAをはじめ米関係機関は、米国が“悲願”とするベネズエラの現体制転換に向けて準備を着々と整えている。石油価格が急落し、産油国ベネズエラの経済の土台が揺らいでいる。こんな中、ベネズエラ国内への武器の大量搬入、ベネズエラ国境沿いのコロンビア領内での反政府勢力の結集と軍事訓練、有能な若者たちの反政府勢力への勧誘と育成、そして周到に計画に基づき実行される政治虐殺。予想通りとは言え、世界いたるところ、とりわけ裏庭とされた中南米諸国で同じ手法で繰り返されてきた米国の反米勢力掃討の動きがベネズエラ現政権を改めて標的にした。本稿は、世界の目線が新冷戦の最前線となったウクライナの動向に奪われている間隙を縫うかのように進行した「覇権国」の策動をビビッドに伝えている。(編集部/1月・268号)



    ※本文は通信上でお読み下さい。


    アジア記者クラブについて

    日ごろ会えない人や話す機会のない人をゲストに迎え、話に耳を傾け、立場や見解は違っても当事者から意見を聞き、質疑応答する。終了後の名刺交換会ではゲストも交えて議論を深め、ネットワークを構築し、時には難題を抱えている会員の手助けもする。今では、小さいながら事務所を維持し、運営委員会と事務局がAPCの運営に当っています。会員数は、2016年12月1日現在で271名を数え、日本最大の「記者クラブ」に成長した。毎月、定例会リポートを掲載した会報紙「アジア記者クラブ通信」も発行し、これだけ読むためにAPCに参加した人がいるほど好評です。

    日本独特の記者クラブ制度の閉鎖性に異議を唱え、開かれた市民のためのジャーナリズムを創出しようとフリーランサーや市民が議論を始めたのがアジア記者クラブの始まりでした。最初は5〜6人の集まりで、情報を集めたい、真実を知りたいという人が気軽に集まり、肩書きや所属組織とは関係なく議論できる場として猫の額ほどの事務所を間借りしたのが1992年11月。昼間は官民で仕事に就く人たちから、生活苦と闘いながらジャーナリズム活動に希望を見い出していたフリーランサーたちの議論に、企業内ジャーナリストたちも参加するようになった。そこで、毎月1回、勉強と議論の場を持つことになった。それが今日まで毎月開催している定例会(1月で248回)です。

    事実を深く掘り下げ、メディアの情報操作や嘘を監視すると同時に、孤立している企業内記者は支援するという姿勢を維持してきた。ジャーナリズムと平和と人権、第三世界に関心のある方は、どなたでも参加できる本来あるべき記者クラブの原型は、こうして形作られてきました。そうした人たちがいつでも集い、明るく闊達に議論を交わす場はいつでも開かれています。もちろん、議論に耳を傾けているだけの人でも参加できるので、ご安心を。好奇心と議論好きの皆さん、アジア記者クラブに参加して、真実を追いかけてみませんか。

    ■代表委員 現在空席(事務局長が代行)

    ■毎月の定例会と月刊機関誌『アジア記者クラブ通信』の発行(紙版とPDF版)を行っています。どなたでも会員になれます。会員の方には機関誌を1年間ご送付致します。入会をご希望の方は、所属、入会の動機、Eメールアドレス、電話番号(携帯)を明記していただき、年会費(紙版購読会員10,000円/PDF版購読会員5,000円/海外はPDF版のみ)を郵便振替で下記までご入金ください。

    加入者名:アジア記者クラブ/記号:00180-4-709267

    〒101-0061 東京都千代田区三崎町2-6-2 ダイナミックビル5F たんぽぽ舎気付(2015年6月21日に移転) / E-mail:apc@cup.com

    ■問い合わせ
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