アジア記者クラブ


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エクアドル、チリの民衆蜂起とショックドクトリン


■日時:2019年11月29日(金)18時45〜20時45分
■受付時間:18時15分〜
■会場:明治大学駿河台キャンパス・アカデミーコモン8階 308G教室/★要予約(定員40名)
(東京都千代田区神田駿河台1-1)
■アクセス:JR中央線・総武線「御茶ノ水」下車/地下鉄・都営線「神保町」か「新御茶ノ水」駅下車
■主催:アジア記者クラブ(APC)
■資料代:1500円/会員1000円(要予約)
■ゲスト:所康弘さん(明治大学准教授)

 日本から見ると地球の反対側に位置する南半球の南米で民衆反乱が続いています。中南米ではチリの軍事クーデター以降、IMFは基軸通貨ドルを通じて各国経済を情け容赦なく破壊し、金融手段によって数十万の民衆を殺害した上で、富裕層だけが全てを手にする社会を出現させることで、本来各国内で分配されるべき富を収奪してきました。
 これまでも民衆反乱でIMFに従属する政権を交代させてきたエクアドルでは10月、蜂起した先住民が首都を占拠し、コレア前政権の進歩政策の打ち消しに躍起になっていたモレノ政権に緊縮政策を撤回させました。軍事独裁下で「シカゴ学派」による新自由主義モデルの導入が称えられたチリでも100万人の抗議デモで極右ピニェラ政権に緊縮政策を撤回させました。アルゼンチンでも緊縮政策に反対する野党候補が大統領選に勝利しました。
 11月定例会は、ゲストにメキシコへの留学経験もある所康弘さんをお招きします。所さんには、中南米とIMFの歴史的な関係と新自由主義の現状に加えて、なぜアンチグローバリゼーション運動が現れているのか、その歴史的な位置づけとは、についても解説していただきます。
 



★予約⇒お名前、所属、会員の有無、Eメール、電話番号を記載の上、配布資料の準備の関係上、必ず2日前までにEメール(apc@cup.com 宛)でお申込み下さい。返信メールでの承認がなかれば参加できませんので注意願います。






2001年以降の定例会

  • 2019年10月 中国建国70年、目覚ましい経済発展と課題(村田忠禧さん/横浜国立大学名誉教授)

  • 2019年9月 昭和天皇は誰に対して何を反省したのか 田島道治宮内庁長官の『拝謁記』を検証する(山田朗さん/明治大学文学部教授)

  • 2019年8月 イラン核合意破綻、戦争は起きうるのか トランプ政権とイスラエルの狙い(田中浩一郎さん/慶応大学教授)

  • 2019年7月 外交大国キューバと米国の経済封鎖若手 外交官が語る直接民主制への挑戦(クラウディオ・モンソン/駐日キューバ大使館・政務担当書記官)

  • 2019年6月 天安門事件30周年 究明はどこまで進んだのか(矢吹晋さん/横浜市立大学名誉教授)

  • 2019年5月 横田空域と日米合同委員会 なぜ首都圏上空を米軍が管制するのか(吉田敏浩さん/ジャーナリスト)

  • 2019年4月 なぜ「働き方改革」がフェイクなのか アベノミクスと表裏一体の企業ファースト(竹信三恵子/労働経済ジャーナリスト)

  • 2019年3月 なぜ北朝鮮は生き残れたのか 朝米非核化交渉の舞台裏で進む経済改革(文聖姫さん/ジャーナリスト・「週刊金曜日」在籍))

  • 2019年2月 北方領土問題は存在していたのか 主権なき2島返還なのか着地点はどこなのか(岩下明裕さん/北海道大学・九州大学教授))

  • 2019年1月 日韓条約と徴用工問題 日韓会談関連外交文書から読み解く(吉澤文寿さん/新潟国際情報大学)

  • 2018年12月 未開催

  • 2018年11月 沖縄報道を考える 深まるジャーナリズムの危機の中で(山田健太さん/専修大学教授)

  • 2018年10月 明治維新は革命だったのか 朝鮮・中国蔑視の源流、征韓論を検証する(吉野誠さん/東海大学名誉教授)

  • 2018年9月 ケチって火炎瓶事件の真相を語る 安倍首相は暴力団に選挙妨害を依頼したのか(山岡俊介さん/ジャーナリスト)

  • 2018年8月 騙されてたまるか 調査報道の裏側で(清水潔さん/日本テレビ報道局)

  • 2018年7月 なぜ拉致問題は解決済みなのか 日本政府の対北圧力一辺倒と政治利用の果て(金志永さん/朝鮮新報社編集局長)

  • 2018年6月 『総書記 遺された声』と日中関係の将来 日中国交45年目の秘史を読み解く(佐藤祐介さん/NHK大阪放送局ディレクター)

  • 2018年5月 なぜ北朝鮮巡る邦字報道が歪むのか. 金正恩政権と朝米首脳会談後の東アジア(李 柄輝/朝鮮大学校准教授)

  • 2018年4月 加計問題「総理のご意向」 報道は幕引きなのか 朝日新聞記者が権力と対峙した1年を語る(西山公隆/朝日新聞記者)

  • 2018年3月 今なぜ瀬長亀次郎なのか 保革を超えて人を惹きつけたカメジロー(佐古忠彦/TBS)

  • 2018年2月 美濃加茂市長事件は終わったのか. 繰り返された犯人視報道と警察・検察の暴走(郷原信郎/弁護士)

  • 2018年1月 朝日新聞はどこに向かうのか 紙面の迷走を検証する(高嶋伸欣/琉球大学名誉教授)

  • 2017年12月 「国家の共謀」 日本はどこへ向かうのか 経済危機と世界のパラダイム転換を 理解できないマスコミの罪(古賀茂明/「改革はするが戦争はしない」フォーラム4代表・元内閣審議官・元経済産業省官僚)

  • 2017年11月 アジア記者クラブ設立25周年記念シンポジウム ジャーナリズムの再生をもとめて(大治浩之輔/元NHK記者・徳山喜雄/立正大学教授、元朝日新聞記者・萩原豊/TBS外信部、「NEWS23」前編集長)

  • 2017年10月 なぜ日米同盟が基軸になるのか. 対米従属の現代史を検証する(吉田敏弘/ジャーナリスト)

  • 2017年9月 昭和天皇の戦争の何が消されたのか 『実録』の隠されたメッセージ (山田朗/明治大学教授)

  • 2017年8月 元TBS記者のレイプ疑惑、何が問題なのか 問われるべき旧態依然の性意識、官邸の関与(太田啓子/弁護士)

  • 2017年7月 なぜ歴史認識が日中の政治対立に発展するのか 日中全面戦争80年の意味を問う(伊香俊哉/都留文科大学教授)

  • 2017年6月 沖縄で中立な報道があるのか 取材現場で写真家が逮捕される時代を問う(島崎ろでぃー/写真家・報道カメラマン)

  • 2017年5月 米朝対立、朝鮮半島危機をどう見るのか 政府の対北政策、邦字報道を検証する (武貞秀士/拓殖大学大学院特任教授)

  • 2017年4月 朝日新聞阪神支局襲撃事件から30年 赤報隊を生んだ時代状況は変わったのか(樋田毅/朝日新聞社大阪秘書役)

  • 2017年3月 日中戦争・盧溝橋事件から80年 あの戦争は、中国・朝鮮蔑視から始まった(田中宏/一橋大学名誉教授)

  • 2017年2月 国立元市長への個人賠償確定を考える 景観保護が営業妨害なのか(上原公子/元国立市長)

  • 2017年1月 朝日赤報隊のwam「爆破予告」と日本社会 歴史認識の否定が深めるアジアでの孤立(池田恵理子/アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館-wam」館長)

  • 2016年12月 本土の記者は沖縄をどう伝えてきたのか 「基地問題」「沖縄差別」に応えて(川端俊一/朝日新聞記者)

  • 2016年11月 尖閣での日中衝突は起こりうるのか 中国脅威論と翼賛報道を検証する(岡田充/共同通信客員論説委員 趙宏偉/法政大学教授 村田忠禧/横浜国立大学名誉教授)

  • 2016年10月 緊迫するスーダン情勢を考える 自衛隊は火中に飛び込むのか(栗本英世さん/大阪大学教授  栗田禎子さん/千葉大学教授)

  • 2016年9月 メディア最大のタブー日米同盟を検証する 辺野古新基地建設と今も生きる核密約(春名幹男さん/早稲田大学客員教授)

  • 2016年8月 政治主導の武器輸出は成功するのか 稲田防衛相就任で何が変わる(望月衣塑子さん/東京新聞社会部記者)

  • 2016年7月 南シナ海領土紛争を多角的に検証する 国連の仲裁は公正なのか(矢吹晋さん/横浜市立大学名誉教授)

  • 2016年6月 沖縄と本土の溝は埋まらないのか 日本人と本土メディアが直視すべきこと(新垣毅さん/琉球新報社・東京支社報道部長)

  • 2016年5月 戦後政治を終わらせることができるのか 参院選を前に考えておくべきこと(白井聡さん/京都精華大学教員)

  • 2016年4月 沖縄の米兵の性暴力は根絶できるか 米兵事件の被害者が実名で語る(キャサリン・ジェーン・フィッシャーさん)

  • 2016年3月 OurPlanet-TVが伝えたフクシマの5年間 非営利メディアだからできること(白石草/OurPlanet-TV代表)

  • 2016年2月 ベトナム戦争から40年後の現実(中野亜里さん/大東文化大学教授)

  • 2016年1月 ハンギョレが見た安倍政権と日韓関係(吉倫亨さん/ハンギョレ・東京特派員)

  • 2015年12月 日本占領期インドネシアの実像に迫る 戦時性暴力被害、開発独裁と日本(倉沢愛子さん/慶応大学名誉教授)

  • 2015年11月 マスメディアは生き残ることができるのか(青島顕さん/毎日新聞社会部記者・金井辰樹さん/東京新聞政治部長・徳山喜雄さん/朝日新聞記事審査室幹事)

  • 2015年10月 メディアは新自由主義に立ち向かえるのか 日本の極右政権を許容する米国の意図(中野晃一さん/立憲デモクラシーの会・上智大学教授)

  • 2015年9月 テレビ朝日は安倍政権の圧力に屈したのか(岩崎貞明さん/元テレビ朝日記者・『放送レポート』編集長)

  • 2015年8月 朝鮮から「戦後70年」を問い直す 「140年戦争」という視座から(愼 蒼宇さん/法政大学准教授)

  • 2015年7月 東アジアの分断と和解 日中韓朝ロの平和と協調から見えてくる潜在力 (羽場久美子さん/東アジア共同体評議会副議長)

  • 2015年6月 日中間の戦争記憶の乖離はなぜ生まれたのか(長井暁さん/ジャーナリスト)

  • 2015年5月 ボリバル革命17年の歩みを語る ベネズエラは米国の脅威ではない(セイコウ・イシカワ閣下/駐日ベネズエラ・ボリバル共和国特命全権大使)

  • 2015年4月 習近平政権の強硬外交をどう読むのか 反中ナショナリズムと日中関係の危機(矢吹晋さん/横浜市立大学名誉教授)

  • 2015年3月 沖縄戦から70年 県民の犠牲は無駄だったのか 辺野古への新基地建設と安倍政権の暴走(糸数慶子さん/参議院議員・沖縄社会大衆党委員長)

  • 2015年2月 東京新聞は総選挙をどう報じたのか 論点明示報道と新聞の可能性(瀬口晴義さん/社会部長、吉田昌平さん/政治部デスク)


  • アジア記者クラブ(APC)への入会方法

    PDF版購読会員の年会費5千円(紙版は2019年度で廃止)を郵便振替で下記までご入金ください。所属、入会のきっかけ、Eメールアドレスを書き添え願います。『アジア記者クラブ通信』(全頁カラーのPDF版)が毎月送付されます。

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    アジア記者クラブ(APC)の目指すもの

    記者会見と記者室の完全開放を求め、全ての取材者に開放された報道センターの設置をアジア記者クラブは提案します。

    既成メディアによる歪曲報道、情報操作、本質を隠す煙幕報道の実態を「アジア記者クラブ通信」(会報)上で明らかにし、批判的に検証します。

    世界のオルタナティブメディアの動向を積極的に紹介し、既成のメインストリームメディアとの違いが相対的に理解できるようにします。読者や視聴者が賢くなるためのメディアリテラシー向上に努めます。

    市民の側に立ったジャーナリストを、企業内、個人、研究者、有志を問わず組織し、連携できるネットワークを構築します。

    オルタナティブな視点をもった民衆のための新しいメインストリームメディアの創出を提案します。





    特集:香港騒乱とチャイナフォビア

    『アジア記者クラブ通信』8月(319)号


    ■定例会リポート(2018年5月16日)
    横田空域と日米合同委員会
    なぜ首都圏上空を米軍が管制するのか

    吉田敏浩
    ジャーナリスト

     拡張を続ける首都東京の羽田空港で、来年のオリンピックなどを見据えた「更なる機能強化」(東京都都市整備局)が進められ、飛行経路の見直しも検討されている。首都圏の空といえば、関東西部を中心に北は新潟の一部、南は伊豆半島の一部までを覆う「横田空域」の弊害が指摘されて久しい。米軍が管制を握り、日本の民間航空機が多大な不便を強いられる横田空域。「空の米国領」とも呼ばれる特権空間はどのような問題を生じさせているのか。2月に『横田空域 日米合同委員会でつくられた空の壁』(角川新書)を上梓したジャーナリストの吉田敏浩さんに。日米地位協定や同合同委員会の存在を踏まえて語っていただいた。(編集部)


    ■中国
    学校建設を進める中国を英BBCは“悪者”と報じたが

    トニー・カータルッチ
    地政学分析家、記者

     中国西部のウルムチで少数民族ウイグル族の大規模な暴動が発生してから7月5日で10周年を迎えた。米英メディアは中国当局による「再教育施設」収容など少数民族ウイグル族への人権侵害が相次いでいると大々的に伝えており、日本のメディアも検証なくそのまま転電している。だが背景では、トルコ系ウイグル族にユーラシアの西側トルコ、あるいは厳格な古い時代のイスラム主義への回帰を目指すサウジアラビアからの働きかけが続いている。過激派とイスラム原理主義の関係、冷戦時代に対ソ連の防波堤としてオイルマネーを注ぎ込んだサウジアラビアの動向、中国台頭を阻もうとする地政学的な配慮など、物事は単純ではない。(編集部)


    ■中国
    なぜ日欧米で中国観が歪むのか
    非欧米諸国で突出する高評価
    中国の成功を認めたくないわけ

    アンドレ・ヴルチェク
    調査報道ジャーナリスト

     建国70周年を迎えた中国の目覚ましい発展は誰の目にも明らかなはずだ。もはや経済分野だけではない。非欧米諸国、とりわけアフリカや中南米諸国からは中国への称賛と期待の声が途切れることがなくなった一方で、日欧米諸国からは、人権問題や大国路線など当て付けに等しい粗探しの声が止むことはない。本稿は、中国がすでに経済指標を超えた豊かさを達成していることを踏まえ、香港騒乱も含めた、日欧米諸国で中国の成功を批判する者がたくさんの「攻撃手段」を繰り出してくる背景を解き明かす。筆者は、中国が攻撃される理由を「中国が最善を尽くしているために非難されるのだ」と説明する。(編集部)


    ■香港
    民主化はテレビ用に管理する
    香港の暴力の背後で暗躍する
    米政府の体制転覆チーム

    ダン・コーエン
    ジャーナリスト
    Killing Gazaの共同プロデューサー

     3月から続く香港騒乱は7月に入り、中国を憎悪する独立派暴徒による地下鉄や空港、街頭の店舗や信号などを片っ端から破壊した上で放火を繰り返し、治安部隊や警察官への襲撃と一般市民への容赦のない無差別暴力を行使する暴動へと拡大している。本稿は、香港の若者たちの抗議行動に「民主主義擁護」の自然発生的な装いをもたせて香港行政府を倒すために米政府の体制転覆チームと現地右派メディアの大物実業家が資金と人材を投入して独立運動を管理している実情を告発した調査報道の記録である。筆者は、今回の騒乱がテレビ用に巧妙に制作されたカラー革命であること豊富な取材と調査から実証する。(編集部)


    ■香港
    狼藉者に眉をひそめる香港住民
    なぜデモ参加者は米国旗を掲げるのか

    アンドレ・ヴルチェク
    調査報道ジャーナリスト

     香港では覆面姿の若者たちが治安部隊員や警官に鉄パイプやバール、ハンマーを手に襲いかかり、火炎瓶や火傷を負わせる化学薬品を投擲する暴動が続いている。日本では既存メディアの報道だけでなくリベラルな知識人のツイートから左翼までもが覆面姿の暴徒の暴力ならば“民主化”のために許容され、治安部隊員の制圧行動は過度な暴力で許容されないという言質がまかり通っている。本稿は、香港の破壊を制止しようとする市民への暴力が拡大する中で恐怖感を覚えている数多の住民と若者との分裂状態、欧米諸国が世界各地で繰り広げてきた新植民地主義による虐殺や英帝国時代の残虐性に完全に目を閉ざした“抗議行動”に参加している若者たちを通して、騒乱の後景として、いつのまにか立ち遅れてしまった香港の現状を検証する。筆者は、狂信的に戦う若者たちの宗教が「西側並みに」の一点に過ぎないだけに、劣等感を暴力的な形で爆発させる暴徒から香港と中国をいかに守るのか、香港の多数派と北京当局に熟考を促す。(編集部)


    ■ロシア
    MH17撃墜事件から5年
    ウクライナへの米介入が伏線
    ロシアフォビアの最大材料に

    シェーン・クイン
    ジャーナリスト

     本年7月、マレーシア航空MH17が戦場となっていたウクライナ東部上空を飛行中に撃墜されて5年が経過した。この撃墜事件の伏線となるネオナチ武装勢力とロシア系住民との戦闘は5カ月前2014年2月に米国によって画策されたヤヌコヴィッチ政権打倒のクーデターによって発生した。本稿は、ソ連邦崩壊直後からウクライナへの干渉を開始した米国の野望が撃墜事件の背景にあることを踏まえて未解明の謎に言及し、米・NATO諸国と欧米主流メディアが声高に唱える「ロシア犯行説」が成立しないことを改めて明らかにする。筆者は、事故調査報告書で犯人だと名指しされたロシアを事故調査委員会に参加させないばかりか弁明の機会すら与えていない公平性に欠けた西側の恣意的言動、委員長の出身国オランダが事実上の核保有国であることが事件に与えた影響にも注意を喚起する。(編集部)


    ■ロシア
    ロシアフォビアに走り 
    1939年の愚を繰り返す
    ポーランド現保守政権

    マーティン・シーフ
    ジャーナリスト

     ドイツ軍のポーランド侵攻から80年の今年、独波両国と旧連合国首脳が参加した記念式典の模様が華々しく伝えられた。その一方で、アウシュビッツ強制収容所の解放式典(1月)、ノルマンディー上陸作戦記念式典(6月)に続いてロシアのプーチン大統領は招待されなかったばかりか、ドイツ軍の侵攻8日前に締結された独ソ不可侵条約でナチス・ドイツとポーランド分割を定めたソ連(ロシア)とナチス・ドイツを同罪とする責任論も執拗に続けられた。本稿は、現ポーランド保守政権による分別の無いロシア敵視政策と戦前のポーランド軍事政権による常軌を逸したソ連敵視政策が大戦を招いて破綻した経緯を重ね、歴史の教訓から学ばないポーランド現政権の愚劣さを批判した論説だ。筆者は、実戦経験のない机上の空論を唱えるワシントンの超タカ派の火遊びに同調するドゥダ政権の浅はかさに警鐘を鳴らす。(編集部)



    【編集後記】

     5月定例会リポートをお届けします。横田ラプコンという名称の方が馴染みがある方も多いと思いますが、岩国ラプコン、嘉手納ラプコンの存在と合わせて問題点が吉田さんの調査報道で明らかになったと思います。G20に参加している国で外国軍に首都圏の管制を任せている国はありません。NATO加盟国のドイツ、イタリアでは吉田さんが指摘するように管制権自体が自国にあり、米軍の好き放題は許されていません。なぜ日本の航空管制だけが法的根拠もなく米軍に支配されるのか。新聞テレビの報道からは何の問題意識も感じられない。ソ連邦を仮想敵国として締結された日米安全保障条約が何の大義名分もなくソ連邦崩壊後も継続されていることに深く関わっているからではないのか。▼新疆ウイグル自治区で北京政府が「ウイグル人に抑圧」を加えているという報道が西側の中国批判のカードになって久しい。カータルッチが中国のイスラム教徒の実像と複雑な背景をBBCがどのように歪めて“問題”として仕立てているのかを解説してくれました。邦字報道の弱点は、基本的にBBCなど欧米主流メディアの転電なので、伝聞に依拠することになっている点です。今年に入ってから100万人のウイグル人が収容されている矯正キャンプ、強制収容所が学校に似せて作られているとの反中キャンペーンが続いてきました。▼本通信317号(6月配信)では『なぜベネズエラ敵視なのか 「人道介入」に道を拓く 独裁キャンペーンの舞台裏』でBBCの“拷問事件”捏造を、産業化した人権団体による“人権侵害事件”化のカラクリを暴露した『帝国に仕えるアムネスティー・インターナショナル』の全訳を掲載しました。両組織ともウイグル問題でも“大活躍”しているからです。同311号(2018年11月配信)に掲載したウィリアム・エングダール『伝えられないウイグル問題 何が歪められているのか ETIMの武器化とCIA』の併読もお勧めします。▼ロシア出身の在米ジャーナリスト、ヴルチェクの論考を2本訳出しました。彼は3年前に、米国の攻撃の矢面に立たされているベネズエラ支援を求めた知識人を代表して習近平主席とプーチン大統領に宛てた公開書簡をしたためたジャーナリストでもあります。非日欧米諸国のメディアや独立メディアに目を通している読者なら誰でも知っている事実です。そこでの中国評価と日欧米諸国の中国報道を通した中国観が真っ二つに分かれているのです。後者が繰り出す中国への「攻撃手段」としての報道が振りまくチャイナフォビア(中国嫌悪)が香港騒乱の後景にあると考え、この2本を選択しました。▼ヴルチェクの『西側が中国の成功を認めたくないわけ』の方は、天安門事件以降の改革開放政策が成功し圧倒的多数の民衆に支持されているというだけでなく、西側の中国共産党一党独裁批判への反論にもなっているからです。香港騒乱が中国建国70周年に合わせて企図されたことは歴然としています。現下の香港騒乱を理解する上でも鍵となる認識だと考えています。▼香港騒乱では、内閣記者会で官房長官を追求した新聞記者も含めた新聞テレビ記者の全員に加え、保守ビジネスパーソンだけでなくリベラルな知識人から左翼までが、「一国二制度を守らない中国」、「民主化を警察の暴力で弾圧する中国」という大合唱を繰り広げているのが思想的退廃ともいえる日本の現状です。しかも暴徒のエスカレートする暴力や破壊行為は黙認する一方で、警察の制圧行動を許容できない暴力行使として糾弾する言質が突出しています。自分で確認したのでもないのに、こうした表面的現象と図式が先入観となって確認した事実と重なり錯覚を招くのは、映像のイメージが刷り込まれているからです。この倒錯した言論状況への反論として、ダン・コーエンの調査報道記事を訳出しました。現在の邦字香港報道の論調や薄っぺらい民主主義論が総崩れになるはずです。▼英ヒースロー、仏ドゴール、米ダラスの国際空港を封鎖して暴力と破壊を繰り広げ、街頭で放火や破壊を繰り返せば、間違いなく軍隊や治安部隊が投入され、警棒殴打の嵐、発砲も受けるのが普通。米国ならば警告なしで発砲され死者の山を築いたでしょう。欧米治安部隊(交通警官ではない)の乱暴狼藉を知っていれば、香港警察の抑制ぶりが目立つ。そうした視点から香港の若者の暴力性がどこから発生しているのか、香港の地位の凋落と重ねて理解できる論考としてヴルチェクの『狼藉者に眉をひそめる香港住民』を訳出しました。▼通信の発行が遅れた関係で、本号と320号、321号に掲載予定原稿を入れ替えました。結果としてテーマが関連しあう掲載記事が補完し合い、特集の理解が進んだのではないかと考えています。特集のチャイナフォビアと並んでロシアフォビア(ロシア嫌悪)も加えたかったのですが、香港騒乱との関係性を優先しました。ウクライナとポーランドを舞台にした2本の論考からは、両国へのフォビア(嫌悪)と米NATOによる中露包囲が軌を一にしていることが理解できると考えました。▼シェーン・クインのマレーシア航空MH17撃墜事件記事は、邦字メディアに欠けている基本認識を補完するだけでなく、ロシア包囲とロシアへの挑発の構図が理解できなければ、クリミア併合とウクライナ東部での戦争が出来した理由が永遠に理解できないことを教えてくれるのではないでしょうか。▼マーティン・シーフがたしなめるポーランド保守政権は、ロシア憎しが余って、国内でウクライナへの展開を想定したドイツ連邦軍の軍事演習を許容しています。同軍はポーランド国民の20%を殺害し全土を破壊し尽くしたドイツ国防軍の後継軍隊です。戦後のポーランド再建がソ連の物質的支援なくしてあり得なかったことを知らないはずはない。1968年のプラハへのワルシャワ条約機構軍の軍事介入の際、東独の国家人民軍だけは、ズデーテン併合直後のドイツ国防軍によるプラハ進駐の歴史があったので参加していない。中国と韓国が国内で陸上自衛隊の演習は受け入れる可能性が皆無であることは誰もが知っている。本当に「彼らは一体いつになったら分かるのだろうか?」と思う。(森)


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    特集:天安門事件30周年

    『アジア記者クラブ通信』9月(320)号

    ■6月定例会リポート(2019年6月26日)
    天安門事件30周年
    真相究明はどこまで進んだのか

    矢吹晋(横浜市立大学名誉教授)


     民主化を叫ぶ学生らが中国当局に武力弾圧され、死者も出た天安門事件の発生から6月4日で30年の節目を迎えた。この事件は日中国交樹立(1972年)以来続いていた日中友好ムードに冷や水を浴びせ、対中好感度を急降下させた。元学生リーダーや犠牲者の遺族らも真相解明と責任追及を求める声を上げ続ける中、学生運動を「反革命暴乱」と規定した李鵬元首相が7月に死去し、事件の記憶はさらに薄れかねない。謎の一つとされてきたのが、政権側の認定と一部の推論で差がみられる犠牲者数と人民解放軍兵士の死傷者数の多さ。6月9日のNHKスペシャル『天安門事件 運命を決めた50日』では、これまでの犠牲者数への拘泥や小平発言の真贋に関わる検証が曖昧なまま放映されるなど問題点が少なくなかった。あの日、広場とその周辺で何があったのか。発生当初から丹念に情報を集め、『天安門事件の真相』(蒼蒼社・上下巻)などの著作も多数ある横浜市立大名誉教授の矢吹晋さんに、NHKスペシャルの問題点も踏まえて実相を語っていただいた。(編集部)



    【中国】
    反中キャンペーンの側面にも目を向けるべきだ
    天安門事件をアジア分断の芽にするな

    ジョゼフ・トーマス
    「ザ・ニュー・アトラス」編集長

     タイを本拠地とする地政学誌「ザ・ニュー・アトラス」編集長で、オンライン雑誌「ニュー・イースタン・アウトルック(NEO)」に論評を寄せる筆者は、30周年を迎えた天安門事件を新たな視点からとらえ直している。民間の内部情報告発サイト「ウィキリークス」が暴いた米外交文書などを使って、西側諸国と大手企業メディアが、人権や民主主義を掲げながら反中キャンペーンを繰り広げてきた側面が強い点に注意を喚起している。(編集部)


    【中国】
    天安門事件30年目の真相
    虐殺されたのは兵士だった
    失敗した米国のカラー革命

    ラリー・ロマノフ
    雑誌編集者、在中国

     8年前にウィキリークスが暴露した北京の米国大使館から国務省への1989年6月4日の外交電文には「学生運動が平穏に打ち切られ、暴動は起こらず、天安門広場での学生虐殺がなかった」と記載され、「戦車に学生が踏み潰された」と世界各地で涙ながらに訴えていた広場の“最高司令官” 柴玲が当日、天安門広場からの逃走ルートの途上にあり、この証言自体が不可能であったことが明らかになって久しい。それにも関わらず執拗に学生と市民の虐殺キャンペーンが続けられてきた。本稿は、関係する膨大な文献資料、影響力のある数多の報道、事件のドキュメンタリーの数々を検証した上で、自発的であったと言われてきた労働者の反乱、学生の抗議運動の実態を明らかにし、事件の黒幕の存在を突きとめた天安門事件検証の決定版ともいえる調査報道の記録である。中国で2500人を超える天安門事件関係者への聞き取り調査を行ってきた筆者は、木樨地で発生した武力衝突の実情が人民解放軍兵士の虐殺であったことを再現した上で、天安門広場での「虐殺」というカラー革命に失敗した米国が30年間にわたって中国を休みなしに非難するためには、「広場での虐殺」という虚構が存在した“事実”だと西側の人々の意識に信じ込ませる必要があったのだと告発する。その片棒を担ぎ続けたのが日欧米の主流メディアであったことは言うまでもない。(編集部)


    【メディア】
    欧米主流メディアをボイコットせよ!
    独立メディアを支援せよ!

    エリック・ズース
    ライター、調査歴史家

     邦字メディアの外信部、国際報道部の主要業務が欧米主流メディア(MSM)の転電作業であることは広く知られたところである。報道のワシントン偏重が代表例だが、MSM信仰と対照的に非欧米諸国メディアへの蔑視、独立メディアの奮闘を歯牙にもかけない姿勢は目に余る。それは表層的でパターン化した国内報道の劣化と決して無関係ではない。本稿は、米帝国と手を組むMSMが望ましくないソーシャルメディアの排除をせっせと行っている現状を踏まえて、MSMの所有者がいずれも億万長者で、MSMが彼らのプロパガンダラインの“行商人”に過ぎないことを告発する。筆者は、独立メディアの仕事ぶりと企業“ニュース”メディアのくだらない仕事ぶりとを比較した上で、前者の優秀さが存分に示されている現状を読者と視聴者に訴える。(編集部)





    【編集後記】

     天安門事件特集をお届けします。矢吹先生の定例会報告は、遺言とおっしゃっておられただけに渾身を込めた内容でした。ジョゼフ・トーマスの論考は6月定例会前に訳出し終えて本号に矢吹先生の報告と併せて掲載する予定でいたところ、9月下旬にラリー・ロマノフの論考が発表されたので特集を組むことにし、訳出依頼しました。この3本が事実関係を補完し合うだけでなく、とくにロマノフの論考は、当時の労働者の反乱と学生運動の性格、香港を拠点にした米国の工作の実態、柴玲ら学生指導部の役回りとVOAの影響を体系的に解説し、何より木樨地で発生した武力衝突の実態を解明する上で重要な判断材料を調査報道で提供していると判断しました。▼『天安門事件の真相』(蒼蒼社・上下巻)は現在、アマゾンの古本ルートでも手に入りません。NHKスペシャル『天安門事件 運命を決めた50日』を制作するにあたり、取材を受けた矢吹晋先生と村田忠禧先生は「手に入らなくなった資料を全て提供した」とのこと。しかし結果は、番組クレジットに「取材協力」と書かれただけで、「Nスペの骨子は我々の本に書いた通りだから、➊『クライシス』シリーズに基づく。➋近年情報公開された英外務省報告で、その内容が裏付けられた、と説明するのが、多分正当な扱い方」だと矢吹先生は定例会リポートの中でディレクターの姿勢を批判しています。現役のNHKディレクター、OBの方はどう思われるでしょうか。▼NHKが英外務省の報告書を発見したら新しい事実が判明したと大々的に宣伝したけれど、その分析はすでに30年近く前に矢吹先生や村田先生が解明済みのストーリーで、NHKのディレクターは手渡した数多の資料を読んで知っていたのだから、番組内で発表する場合の筋やモラルを矢吹先生は指摘されたわけです。『アジア記者クラブ通信』掲載の訳稿を資料にして論文を書いているのに訳出出典を一切明示せず、原文すら読んでいないのに原文を出典にしていた大学教授もいましたが、同じレベルなのではないか。NHKのディレクターは「弱者を踏み台にした」、「良いとこ取り」の誹りは免れまい。▼今回のNHKスペシャル事件のようなケースは、外部から何かと便宜を図ってもらえ、何でも取材先から無償提供してもらえる親方日の丸の大組織にいる人間には分からないのか。これでは蒼蒼社に限らず、弱小団体はもたなくなります。苦労したことがないから無神経なのだと判断せざるをえない。▼番組内で英国の機密資料の「共産党内部のリーク」情報だけに依拠しながら小平が発砲をけしかけたという「200人の死が、中国に20年の安定をもたらすだろう」発言を確定情報として既定路線化するのは無理があるのではないか。少なくとも他の文献など複数ソースからのクロスチェックが必要なはず。簡単に済ませているが、誤報なら懲戒対象になるくらいの重大事案だと思いますが、そもそも英国は天安門事件の犠牲者数1万人を主張している国。英国の言う通りなら中国政府が9700人の死者を隠していることになります。暴動扇動者の香港脱出にも英国諜報機関が手を貸した。Nスペの基調は、ロマノフの調査報道とは真っ向から対立していることも忘れてはならない。▼今年6月の天安門事件報道は、NHKからキー局までテレビは天安門の前を車で通りながら「警備が厳重です」のパターン。「虐殺」情報の引用だけ。新聞の論調も同じだったのではないか。違うという論調があれば教示願いたい。邦字メディアの国際報道の殆どが目に見える体験を語るパターンになって久しいかと思います。「すごい」「ひどい」など感嘆詞で表現できるような記事が余りに多い。香港報道が典型ですが、殴った蹴ったヒドイという表層的な路上での観察記事ばかりが目に付く。あとは欧米主流メディアの孫引き。天安門事件報道共々、ロマノフやズースが指摘するように帝国の思惑通りに御用報道していることに気づいていない。▼『天安門事件の真相』(上巻)の『はしがき』に天安門広場での「虐殺」情報が反面教師として東ドイツ(東独)人民を助けたとの記述があります。1989年10月1日の国慶節の式典(軍事パレードは中止)に東独はクレンツ国家評議会副議長を団長とした訪問団を派遣し、江沢民総書記と英語で会話を交わしたという記事を当時読んだ覚えがあります。10月7日には東独は建国40周年記念式典を行いましたが、首都ベルリンはじめ全土に広がる民主化デモに対して、ホーネッカー国家評議会議長は武力鎮圧(発砲許可)を指示していました。▼治安担当書記も兼任していたクレンツを議長に、ディッケル内相、シュトレーレツ国家人民軍参謀総長、ワーグナー人民警察長官が当時、武力行使の是非を協議した記録が残っています。軍の投入は発砲以前に、徴兵で銃が扱え、戦車や装甲車の窓を塞ぐ市街戦の訓練を受けた市民との間で流血の惨事を招くのは必定として平和裏に対応することを会議では確認しています。この協議は10月18日のホーネッカー解任につながりますが、記録に言葉はないものの、天安門事件の情報が念頭にあったのではと推察しています。▼来月のベルリンの壁崩壊30周年の話題が邦字メディアの映像や紙面を飾るのだろうが、天安門事件報道を見る限り、全く期待できない。記者やデスクに蓄積がなさ過ぎる。定例会でも取り上げたかったのだが、統一ドイツ時代だけではなく、東西ドイツの時代と両国の建国にも熟知した適任のゲストがおらず、読者の関心も低いことからペンディングにしている。▼独紙では東独(DDR)とはどういう国だったのか、崩壊理由を世界経済や新自由主義との関係、ソ連との関係の中で検証したり、多くの論考や回想、インタビューが登場していることからも関心が高い。10月7日のDDR建国70周年記念集会では、「DDR消滅が現在のドイツの右傾化と格差拡大、福祉の切り捨て(自己責任化)に拍車をかけた。DDRは現代ドイツ史の中で唯一の平和国家だった」とハンス・モドロウ元DDR首相がビデオ演説していました。価値観は画一的ではない。▼ズースが推薦しているオルタナティブ・メディアのリスト一覧は本通信が参考にしている独立メディアのリストとほぼ重なります。何を見ているのかという方への返信にもなるかと思っています。319号の香港特集、320号の天安門特集とセットで10月定例会の村田先生の報告も位置づけています。是非ご参集願います。(森)

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    特集:帝国、新自由主義への民衆反乱

    『アジア記者クラブ通信』10月(321)号

    ■定例会リポート(2019年7月24日)
    外交大国キューバと米国の経済封鎖若手外交官が語る直接民主制への挑戦

    クラウディオ・モンソン
    駐日キューバ大使館 政務担当書記官


     今年は日本とキューバが外交関係を樹立して90年。キューバにとっては社会主義革命から60年の年でもある。左派・中道左派政権の退潮がみられる中南米にあって、大カリスマの故フィデル・カストロ議長がトップを退いた後も社会主義体制を堅持しているキューバ。外交関係では敵視されてきた米国とはオバマ政権時代の2015年に国交を回復したものの、トランプ政権の登場で状況は逆戻りし、制裁が強化されている。経済的な支えだった旧ソ連の崩壊というショックも乗り越えたキューバには現在、盟友ベネズエラの騒乱状態も暗い影を落とす。4月に新憲法が施行されたこの国は、どう変わっていくのか。駐日キューバ大使館政務担当書記官のクラウディオ・モンソンさんに日本語で現状を中心に語っていただいた。(編集部)




    ■エクアドル
    金融虐殺の主犯はIMF
    エクアドルでは民衆蜂起
    借金漬けの手口はこうだ

    ピーター・ケーニッヒ
    地政学アナリスト、エコノミスト


     エクアドルではIMFが主導する緊縮政策に怒りを爆発させた先住民が10月中旬、首都を制圧し、前政権の進歩政策をことごとく覆してきたモレノ政権に緊縮政策を撤回させた。本稿は、IMFがワシントンの指令に基づいて米国の命令に従わない国を標的にして、対象国を必要のない借金漬けにし、公共サービスを民営化することで、基軸通貨ドルの管理の下、資金と資源を収奪する犯罪システムが存在していることを告発する。筆者は、ブレトンウッズ体制の美辞麗句の下でIMFが世界銀行の支援を受けているだけでなく、CIAやNED(全米民主主義基金)と一体となって“反米政権”を転覆し、強奪まがいの新自由政策への転換を後押ししてきた実態を白日の下に曝す。(編集部)



    ■経済
    国際通貨基金と世界銀行
    世界をドル支配する道具
    米帝国を支える金融秩序

    マイケル・ハドソン
    エコノミスト


     ベトナム戦争での敗北以降も戦争を続け、ソ連邦が崩壊した一方で、双子の赤字でも崩壊しなかった米帝国。一部の富裕層富が集中する世界秩序がどのように維持されているのか、膨大は出費を強いられる戦争を継続しながら、なぜ米国は倒れないのか。本稿は、そうした疑問に加え、米国がIMFと世界銀行を使って緊縮財政を第三世界に押しつけながらドルを還流させているシステム、なぜドル決済でなければならないのか、銀行に支配される西側諸国、巨額の政治献金で堕落する欧米政府、機能しない議会制度、米中経済戦争が金融経済に移行した米国とポスト工業化を回避できた中国の対立であることなど世界金融秩序の舞台裏について、マルクス経済学者のマイケル・ハドソンが明快に解説した対話録である。ハドソンは、新自由主義が世界をいかに蝕み、収奪してきたのかを手に取るように明らかにしてゆく。(編集部)



    ■中国
    ”上から目線“の西欧諸国には脅威
    長期間をかけ中国追い落としを狙うか

    アンドレ・ヴルチェク
    調査報道ジャーナリスト


     中国は西側世界と本当に競争していくようになるのだろうか。現在の西側のシステムは何百年にわたり、恐怖、圧政、残虐な暴力に立脚して構築され、自分たちだけで独占する仕組みを維持してきた。本稿は、欧米諸国よりも速いペースで、またしばしばより高い品質で、生産し続ける中国に対して、命令を下す立場から脱却できない欧米諸国のジレンマが力で押さえつけることのできない中国への貿易戦争となって噴出している現状を分析した論考である。筆者は、中露両国がその気になれば、米国の経済、あるいはおそらく西側世界全体の経済を1週間内に傾かせることができるだろうと語る。(編集部)



    ■北朝鮮
    経済制裁の打撃受ける年少者や女性
    朝鮮向け人道的措置を阻む厚い壁

    ダニエル・ラリソン
    「米国保守主義者」誌・編集デスク


     米朝関係は再び膠着状態に陥りつつある。相次ぐトランプ・金正恩両氏の首脳会談で個人的「信頼関係」が結ばれたと強調される中で、実務協議は進展していない。米国側では対朝鮮制裁網の維持・強化論が蒸し返されており、日本の安倍政権も同調している。朝鮮側は短距離ミサイル試射を続けて日米韓同盟の亀裂を誘いながら、来年の米大統領選挙をにらんで大陸間弾道ミサイル試射と核実験を手控えつつ、年内に期限を設定して米側に制裁解除などに踏み切るよう決断を求めている。韓国の文在寅政権は2018年2月の平昌冬季五輪開催時に800万ドルの食糧支援を国際機関を通じて送ると平壌および国際社会に訴えたが、この人道支援提案は棚ざらしされたままだ。韓国内には日本が「人道支援カード」で韓国外交を妨害しているとの不満も出ており、植民地統治の責任を求める「歴史カード」への圧力を高める一因にもなっている。来年2020年に、果たして人道上の措置を皮切りに対朝鮮制裁の緩和が始まり平和構築が進むのか、逆に米朝首脳対話開始前の2018年初めの冷たい関係に戻ってしまうのか。そもそも経済制裁の効果や影響は実際にどのような結果をもたらしているのか。トランプ現政権に批判的で保守本流をうたう米誌の編集者が問題提起をしている。(編集部)



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    アジア記者クラブについて

    日ごろ会えない人や話す機会のない人をゲストに迎え、話に耳を傾け、立場や見解は違っても当事者から意見を聞き、質疑応答する。終了後の名刺交換会ではゲストも交えて議論を深め、ネットワークを構築し、時には難題を抱えている会員の手助けもする。今では、小さいながら事務所を維持し、運営委員会と事務局がAPCの運営に当っています。会員数は、2016年12月1日現在で271名を数え、日本最大の「記者クラブ」に成長した。毎月、定例会リポートを掲載した会報紙「アジア記者クラブ通信」も発行し、これだけ読むためにAPCに参加した人がいるほど好評です。

    日本独特の記者クラブ制度の閉鎖性に異議を唱え、開かれた市民のためのジャーナリズムを創出しようとフリーランサーや市民が議論を始めたのがアジア記者クラブの始まりでした。最初は5〜6人の集まりで、情報を集めたい、真実を知りたいという人が気軽に集まり、肩書きや所属組織とは関係なく議論できる場として猫の額ほどの事務所を間借りしたのが1992年11月。昼間は官民で仕事に就く人たちから、生活苦と闘いながらジャーナリズム活動に希望を見い出していたフリーランサーたちの議論に、企業内ジャーナリストたちも参加するようになった。そこで、毎月1回、勉強と議論の場を持つことになった。それが今日まで毎月開催している定例会(1月で248回)です。

    事実を深く掘り下げ、メディアの情報操作や嘘を監視すると同時に、孤立している企業内記者は支援するという姿勢を維持してきた。ジャーナリズムと平和と人権、第三世界に関心のある方は、どなたでも参加できる本来あるべき記者クラブの原型は、こうして形作られてきました。そうした人たちがいつでも集い、明るく闊達に議論を交わす場はいつでも開かれています。もちろん、議論に耳を傾けているだけの人でも参加できるので、ご安心を。好奇心と議論好きの皆さん、アジア記者クラブに参加して、真実を追いかけてみませんか。

    ■代表委員 現在空席(事務局長が代行)

    ■毎月の定例会と月刊機関誌『アジア記者クラブ通信』の発行(紙版とPDF版)を行っています。どなたでも会員になれます。会員の方には機関誌を1年間ご送付致します。入会をご希望の方は、所属、入会の動機、Eメールアドレス、電話番号(携帯)を明記していただき、年会費(PDF版購読会員)5,000円を郵便振替で下記までご入金ください。

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