アジア記者クラブ


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なぜ北朝鮮巡る邦字報道が歪むのか
金正恩政権と朝米首脳会談後の東アジア


■日時:2018年5月26日(土)18時45分〜20時45分
■受付時間:18時15分〜
■会場:明治大学駿河台キャンパス・研究棟4階・第1会議室/★要予約(定員50名)
(東京都千代田区神田駿河台1-1)
■アクセス:JR中央線・総武線「御茶ノ水」下車/地下鉄・都営線「神保町」か「新御茶ノ水」下車
■主催:アジア記者クラブ(APC)
■資料代:1500円/会員1000円/明治大生無料(要予約)
■ゲスト:李 柄輝さん(朝鮮大学校准教授)

 意表を突いた朝中首脳会談に続いて、劇的な北南首脳会談での朝鮮半島非核化と朝鮮戦争終結に向けた雰囲気の醸成は、朝鮮半島中心に大きな感動を巻き起こしました。中露両国からは6カ国協議の再開、トランプ大統領の気まぐれ要素はあるものの、朝米首脳会談の結果次第では朝鮮半島に平和が招来する現実味を帯びてきました。
 その一方で、安倍政権と邦字メディアは対北圧力一辺倒の言質を繰り返し、平昌五輪の最中から、北の「微笑外交」に騙されるな、日米韓の「分断」に警戒という論調では軌を一にして蚊帳の外に置かれたままであることは周知の事実です。
 5月定例会は、朝鮮大学校の李柄輝(リ ビョンフィ)さんをゲストにお招きします。当日、金正恩委員長をマスコミ業界内では“狂人”呼ばわりしてきた上に、この期に及んでも平和を指向する北と南の民意を理解せず、制裁強化と叫ぶことで北南和解の動きに水を差す日本が6カ国協議に復帰できるのか、若年にして老練な外交手腕を発揮する金正恩委員長相手に安倍首相が植民地賠償や拉致問題解決の交渉に手練を発揮できるのか、脱北者情報ではない一次情報から急展開の朝鮮半島情勢について李さんに解説していただきます。
 



★予約⇒お名前、所属、会員の有無、Eメール、電話番号を記載の上、配布資料の準備の関係上、必ず2日前までにEメール(apc@cup.com 宛)でお申込み下さい。返信メールでの承認がなかれば参加できませんので注意願います。






2001年以降の定例会

  • 2018年4月 加計問題「総理のご意向」 報道は幕引きなのか 朝日新聞記者が権力と対峙した1年を語る(西山公隆/朝日新聞記者)

  • 2018年3月 今なぜ瀬長亀次郎なのか 保革を超えて人を惹きつけたカメジロー(佐古忠彦/TBS)

  • 2018年2月 美濃加茂市長事件は終わったのか. 繰り返された犯人視報道と警察・検察の暴走(郷原信郎/弁護士)

  • 2018年1月 朝日新聞はどこに向かうのか 紙面の迷走を検証する(高嶋伸欣/琉球大学名誉教授)

  • 2017年12月 「国家の共謀」 日本はどこへ向かうのか 経済危機と世界のパラダイム転換を 理解できないマスコミの罪(古賀茂明/「改革はするが戦争はしない」フォーラム4代表・元内閣審議官・元経済産業省官僚)

  • 2017年11月 アジア記者クラブ設立25周年記念シンポジウム ジャーナリズムの再生をもとめて(大治浩之輔/元NHK記者・徳山喜雄/立正大学教授、元朝日新聞記者・萩原豊/TBS外信部、「NEWS23」前編集長)

  • 2017年10月 なぜ日米同盟が基軸になるのか. 対米従属の現代史を検証する(吉田敏弘/ジャーナリスト)

  • 2017年9月 昭和天皇の戦争の何が消されたのか 『実録』の隠されたメッセージ (山田朗/明治大学教授)

  • 2017年8月 元TBS記者のレイプ疑惑、何が問題なのか 問われるべき旧態依然の性意識、官邸の関与(太田啓子/弁護士)

  • 2017年7月 なぜ歴史認識が日中の政治対立に発展するのか 日中全面戦争80年の意味を問う(伊香俊哉/都留文科大学教授)

  • 2017年6月 沖縄で中立な報道があるのか 取材現場で写真家が逮捕される時代を問う(島崎ろでぃー/写真家・報道カメラマン)

  • 2017年5月 米朝対立、朝鮮半島危機をどう見るのか 政府の対北政策、邦字報道を検証する (武貞秀士/拓殖大学大学院特任教授)

  • 2017年4月 朝日新聞阪神支局襲撃事件から30年 赤報隊を生んだ時代状況は変わったのか(樋田毅/朝日新聞社大阪秘書役)

  • 2017年3月 日中戦争・盧溝橋事件から80年 あの戦争は、中国・朝鮮蔑視から始まった(田中宏/一橋大学名誉教授)

  • 2017年2月 国立元市長への個人賠償確定を考える 景観保護が営業妨害なのか(上原公子/元国立市長)

  • 2017年1月 朝日赤報隊のwam「爆破予告」と日本社会 歴史認識の否定が深めるアジアでの孤立(池田恵理子/アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館-wam」館長)

  • 2016年12月 本土の記者は沖縄をどう伝えてきたのか 「基地問題」「沖縄差別」に応えて(川端俊一/朝日新聞記者)

  • 2016年11月 尖閣での日中衝突は起こりうるのか 中国脅威論と翼賛報道を検証する(岡田充/共同通信客員論説委員 趙宏偉/法政大学教授 村田忠禧/横浜国立大学名誉教授)

  • 2016年10月 緊迫するスーダン情勢を考える 自衛隊は火中に飛び込むのか(栗本英世さん/大阪大学教授  栗田禎子さん/千葉大学教授)

  • 2016年9月 メディア最大のタブー日米同盟を検証する 辺野古新基地建設と今も生きる核密約(春名幹男さん/早稲田大学客員教授)

  • 2016年8月 政治主導の武器輸出は成功するのか 稲田防衛相就任で何が変わる(望月衣塑子さん/東京新聞社会部記者)

  • 2016年7月 南シナ海領土紛争を多角的に検証する 国連の仲裁は公正なのか(矢吹晋さん/横浜市立大学名誉教授)

  • 2016年6月 沖縄と本土の溝は埋まらないのか 日本人と本土メディアが直視すべきこと(新垣毅さん/琉球新報社・東京支社報道部長)

  • 2016年5月 戦後政治を終わらせることができるのか 参院選を前に考えておくべきこと(白井聡さん/京都精華大学教員)

  • 2016年4月 沖縄の米兵の性暴力は根絶できるか 米兵事件の被害者が実名で語る(キャサリン・ジェーン・フィッシャーさん)

  • 2016年3月 OurPlanet-TVが伝えたフクシマの5年間 非営利メディアだからできること(白石草/OurPlanet-TV代表)

  • 2016年2月 ベトナム戦争から40年後の現実(中野亜里さん/大東文化大学教授)

  • 2016年1月 ハンギョレが見た安倍政権と日韓関係(吉倫亨さん/ハンギョレ・東京特派員)

  • 2015年12月 日本占領期インドネシアの実像に迫る 戦時性暴力被害、開発独裁と日本(倉沢愛子さん/慶応大学名誉教授)

  • 2015年11月 マスメディアは生き残ることができるのか(青島顕さん/毎日新聞社会部記者・金井辰樹さん/東京新聞政治部長・徳山喜雄さん/朝日新聞記事審査室幹事)

  • 2015年10月 メディアは新自由主義に立ち向かえるのか 日本の極右政権を許容する米国の意図(中野晃一さん/立憲デモクラシーの会・上智大学教授)

  • 2015年9月 テレビ朝日は安倍政権の圧力に屈したのか(岩崎貞明さん/元テレビ朝日記者・『放送レポート』編集長)

  • 2015年8月 朝鮮から「戦後70年」を問い直す 「140年戦争」という視座から(愼 蒼宇さん/法政大学准教授)

  • 2015年7月 東アジアの分断と和解 日中韓朝ロの平和と協調から見えてくる潜在力 (羽場久美子さん/東アジア共同体評議会副議長)

  • 2015年6月 日中間の戦争記憶の乖離はなぜ生まれたのか(長井暁さん/ジャーナリスト)

  • 2015年5月 ボリバル革命17年の歩みを語る ベネズエラは米国の脅威ではない(セイコウ・イシカワ閣下/駐日ベネズエラ・ボリバル共和国特命全権大使)

  • 2015年4月 習近平政権の強硬外交をどう読むのか 反中ナショナリズムと日中関係の危機(矢吹晋さん/横浜市立大学名誉教授)

  • 2015年3月 沖縄戦から70年 県民の犠牲は無駄だったのか 辺野古への新基地建設と安倍政権の暴走(糸数慶子さん/参議院議員・沖縄社会大衆党委員長)

  • 2015年2月 東京新聞は総選挙をどう報じたのか 論点明示報道と新聞の可能性(瀬口晴義さん/社会部長、吉田昌平さん/政治部デスク)


  • アジア記者クラブ(APC)への入会方法

    紙版購読会員の年会費1万円、PDF版購読会員の年会費5千円(海外在住者は、通信はPDF版のみ)を郵便振替で下記までご入金ください。所属、入会のきっかけ、Eメールアドレスを書き添え願います。『アジア記者クラブ通信』(全頁カラーのPDF版か紙版)が毎月送付されます。

    加入者名:アジア記者クラブ
    記号:00180-4-709267


    問い合せ:電子メール:apc@cup.com


    ツイッター:https://twitter.com/2018_apc






    アジア記者クラブ(APC)の目指すもの

    記者会見と記者室の完全開放を求め、全ての取材者に開放された報道センターの設置をアジア記者クラブは提案します。

    既成メディアによる歪曲報道、情報操作、本質を隠す煙幕報道の実態を「アジア記者クラブ通信」(会報)上で明らかにし、批判的に検証します。

    世界のオルタナティブメディアの動向を積極的に紹介し、既成のメインストリームメディアとの違いが相対的に理解できるようにします。読者や視聴者が賢くなるためのメディアリテラシー向上に努めます。

    市民の側に立ったジャーナリストを、企業内、個人、研究者、有志を問わず組織し、連携できるネットワークを構築します。

    オルタナティブな視点をもった民衆のための新しいメインストリームメディアの創出を提案します。





    特集:なぜ日本の国際報道が面白くないのか

    『アジア記者クラブ通信』5月(305)号

    ■12月定例会リポート(2017年12月9日)
    「国家の共謀」日本はどこへ向かうのか
    経済危機と世界のパラダイム転換を理解できないマスコミの罪

    古賀茂明(「改革はするが戦争はしない」フォーラム4代表・元内閣審議官・元経済産業省官僚)


     一時は政界再編の予兆を漂わせた昨秋の総選挙からやがて半年を迎える。改憲や「働き方改革」を進めようとする安倍政権に対し、野党は共闘態勢がまとまらず国会質疑でも連携のなさが突っ込み不足を呼んでいる。結果的に民進党を分裂させるにとどまったこの総選挙では、政治的な立ち位置をめぐる論議も繰り広げられた。憲法を守る勢力が「保守」とみなされ、既得権の打破を叫ぶ新自由主義者らが「革新」と受け止められる風潮が若者らの間で広がる。「リベラル」の概念も問い直される中、政治の座標軸をどう設定すべきか。元経産省官僚で『国家の共謀』(角川新書)の近著がある古賀茂明さんにお話をうかがった。(編集部)


    【中国】
    米中貿易戦争勃発の深相
    対米従属か主権下の発展か?
    中露はユーラシア協力強化

    F・ウィリアム・エングダール(戦略リスク・コンサルタント)


     トランプ大統領は3月22日、中国による知的財産権侵害への制裁措置の発動をライトハイザー米通商代表部(USTR)代表に指示し、中国も対米報復措置を発表。WTO提訴も絡んだ貿易戦争の勃発に、市場もトランプ政権の真意を測りかねているのが実情だ。本稿は、今回の制裁措置の背景に、ワシントンの自由市場に対して中国経済を抜本的に開放させ、中国が断固として抵抗してきたリベラルな改革に舵を切らせたいトランプ政権の狙いがあることを明らかにする。筆者は、国家を支配する多国籍企業エリートたちのユーラシア支配と中国独自の発展戦略との対立が、貿易戦争ではなく、今回の「米国によって運営されるワシントン版の世界経済」に対する「国家主権に基づく中国版の経済発展」という論争の発動につながったのだと説く。(編集部)


    【中国】
    統一朝鮮と米は同盟関係?
    米中貿易戦争と北京の懸念
    朝鮮半島の春と中国の立場

    タイラー・ダーデン(Zerohedge 主宰者)


     朝鮮民主主義人民共和国と大韓民国が平和統一した場合、現在の米韓同盟が継承され、統一朝鮮と中国との国境まで米軍は進出してくるのだろうか。本稿は、6月12日の米朝首脳会談に向けて、平和裏に交渉が進展していることを評価している中国が、統一後の朝鮮半島に、米国との軍事同盟と北京を射程に収める中距離ミサイル群が継続して存在した場合、新たな脅威の出来につながることを懸念しているとの見方を提示する。筆者は、中国指導部が朝鮮に対する根深い懐疑を抱く一方で、金正恩委員長が中国に見せている配慮が効果を上げていると指摘する。(編集部)



    【北朝鮮・米国】
    金正恩氏の言動が脅威?
    米専門家が抱いた恐怖感
    米社会運動は覚醒の機会

    ティム・ショロック(ジャーナリスト)


     南北の首脳が板門店で抱擁し握手を交わした首脳会談を目の当たりにして胸が熱くなった人は少なくない。両首脳の即興でざっくばらんな態度が朝鮮半島に平和をもたらす新風を吹き込んだ。本稿は、この首脳会談を後押しした下地に韓国の「キャンドル革命」があり、米国の退役軍人や平和運動家たちに「我々は韓国の運動から民衆を動かす素晴らしい力を学んだ」と言わせた民主主義と平和を勝ち取る運動があったことを明らかにする。その一方でNYT紙やWP紙などの米主流紙が依然として、首脳会談を「危険で不吉な出来事」、「(北の)誇大宣伝」などと人々に恐怖心を与える語り口の「やっつけ評論」が目立っている現状を指摘する。その上で筆者は、米朝首脳会談を前に、「米国市民として、分断された朝鮮の統合を手助けするのは我々に課せられた責任だ」とする意識が米社会運動の再生への刺激になっている現状を報告する。(編集部)




    ■ベネズエラ
    欧州議会の露骨な介入     
    選挙妨害にメディアも参戦
    ベネズエラの民主主義は今

    マリア・パエス・ヴィクトル(カナダ在住ベネズエラ人社会学者)


     無知ほど怖いものはない。大統領選挙を目前にしたベネズエラへの西側主流メディアによる誹謗中傷が続いている。「野党を排除した出来レース」、「投票は操作されている」という類のデマだけでなく、独裁体制キャンペーンも途切れることがない。本稿は、こうした情報操作やデマに具体的に反論する。92カ国の投開票に立ち会ったカーター元大統領が「ベストだ」と断言したベネズエラの投開票システム。選挙人を選ぶ複雑で不透明な米大統領選の仕組みには誰も疑問を持たない矛盾。野党に大統領選を棄権させた上で政権に「排除された」と宣伝させる米国の戦略。同国のビジネス・エリートや金融資本による階級の陰謀。5年にわたって続く経済危機の犯人が誰なのかに民衆が気づき政権支持が増えていることなど、既存メディが伝えない事実の数々を明らかにする。筆者は、左派政権の課題にも言及し、民主主義を擁護するためには、銀行やメディアの民主化を中心にした司法規制の実施、腐敗の防止、制憲議会による人々への説明責任の強化が必要不可欠だと訴える。(編集部)




    ■シリア
    ジャーナリストを抹殺せよ
    米の「殺害リスト」が露見
    無人機攻撃に提訴で応戦

    Middle East Monitor


     戦場でジャーナリストが命を落とすことは稀ではない。これまでも戦闘に巻き込まれたり、兵士と間違われて銃撃を受け、殉職者を出してきた。近年、プレスの文字入りジャケットを着ていても、取材を敵視するスナイパーによって意図的に記者が狙撃される事例が後を絶たないのが現実だ。本稿は、シリアで取材するジャーナリストが無人機につけ狙われ、テロリストとして米国の「殺害リスト」に名前が載せられていた2人のジャーナリストが提訴に踏み切った一連の経緯を明らかにする。米国家安全保障局(NSA)は、個人の携帯電話の通話履歴や旅行パターンから標的を絞り込む。筆者は、トランプ政権下では、リスクの高い対テロ軍事作戦前の内部審査が重視されず、チェック体制は軍部と中央情報局(CIA)に大きな権限が付与されている現状を告発する。(編集部)




    ■シリア
    ホワイトヘルメットの正体
    潤沢な資金はどこから調達?
    シリア戦争での役割を追う

    ベン・スワン(調査報道ジャーナリスト)


     シリア戦争を伝えるセンセーショナルなニュース映像の中に必ずと言っていいほど登場するのがホワイトヘルメット(WH)である。シリア政府軍によるサリンや神経ガスなどの化学兵器使用報道に関しては、依然として証拠がなく政府が否定している中で、化学兵器被災者とされる子供たちが水をかけられている映像が拡散し、その映像が政府軍の非道の証拠として、米英仏軍によるシリア空爆の根拠にもされてきた。本稿は、総力戦で人手も不足ししているシリアで適齢期の若者と相当の活動予算がどのように確保されているのか、WHと欧米諸国との関係と活動実態に迫った調査リポートである。筆者は、シリアでの政府軍による“無差別爆撃”と“化学兵器使用疑惑”があたかも公平・中立なオブザーバーからもたらされているかのように西側主流メディアによって繰り返し報道されてきたことに対して、信用するには程遠い深刻な疑問が幾つも存在することを提示する。(編集部)



    ※本文は通信上でお読み下さい。
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    特集:オルタナティブメディアとジャーナリズム

    世界のオルタナティブメディアの躍動を伝えるシリーズ

    ■軍事クーデターの標的にされたテレスール
    世界の進歩的な人々を惹きつける放送局を語る
    グレゴリー・ウィルパート(テレスール英語放送ディレクター)
    マイケル・アルバート(Z magazine 創刊人)


     中東カタールの衛星放送局アルジャジーラにヒントを得たチャベス大統領の後押しでベネズエラのカラカスに衛星放送局テレスールが開設されてから今年で10年になる。欧米の報道機関、とりわけCNNスペイン語放送の情報独占に対抗することが急務で、「米国主導の政治機構のレンズを通して形成されてきた」歪んだ情報を正す必要があったからだ。昨年7月からは待望の英語放送が始まった。アルジャジーラが国王による編集権への介入を受けて、「世界を支配しようとする米国や西欧諸国の取り組みを暴くこと」を忌避する中で、英語放送のディレクター、ウィルバートはインタビューに答えて、テレスールの役割と目標に加え、「進歩主義的なウェブサイトやその他の報道機関との将来の協力合意が西側主流メディアの対抗メディアにとって極めて大事になる」と明言する。本稿の後半には、2月中旬にベネズエラで摘発された軍事クーデターの攻撃目標に、マドゥーロ大統領ら政権首脳の殺害と合わせて、テレスールが含まれていた謀議を告発するカベージョ国会議長の報告を併載した。(編集部/3月・270号)



    ■ネムツォフ殺害はCIAの犯行と見よ   暴走を続ける米諜報機関
    ポール・クレイグ・ロバーツ(エコノミスト)


     レーガン政権下の財務次官補でエコノミストの筆者は、2015年2月28日、モスクワで起きたプーチン大統領の政敵、ボリス・ネムツォフの殺害事件を巡り米欧の主流
    メディアがプーチン非難の大合唱を繰り広げる中、「殺害はCIAの犯行」と断定的に語る。米政府と深くつながっていたネムツォフの暗殺は、約半世紀前のケネディ暗殺に象徴される、コントロール不能となったCIAの暴走の一環とみるのだ。極めて短いものの、本稿は米国が覇権を掌握した後の現代世界での最も深刻な病巣の1つを抉っている。ケネディの前任者アイゼンハワーが大統領退任にあたり「軍産複合体が米国を蝕む」と警告したが、1970年代にはチャーチ委員会(情報活動調査特別委員会)を筆頭に米上院委員会は米国の政府や議会がCIAやFBIなど諜報機関への制御能力を失ったと警告を発した。実際、CIAなどはテロ戦争を口実に世界中で体制転覆、政治殺戮、テロを歯止めなく繰り広げている。本稿はネムツォフ殺害事件への重要な視座を提供する。(編集部/3月・270号)



    ■平和賞受賞者マララ・ユスフザイは社会主義者だ
    タブー視する西側メディア
    ベン・ノートン(アーティスト)


    パキスタンでは青年層を中心にマルクス主義への共感と社会主義運動が急速に高揚している。西側メディアがこれを積極的に報じることは決してない。ましてや2014年のノーベル平和賞を受賞した17歳のパキスタン人女性、マララ・ユスフザイがマルクス主義を「抑圧からの解放の真の武器」とみなし、支持層を拡大するパキスタン労働党の今年の党大会に熱烈なメッセージを送ったことをほとんどタブー扱いしている。筆者は既成メディアがマララの受賞理由を「教育こそ唯一の解決手段」との訴えに矮小化しており、パキスタン人ヒロインの実像の黙殺に抗議する。同時に、ホワイトハウスの執務室で米大統領が署名、指揮して実行されていると言われる米軍の無人機による爆撃がいかに多数のパキスタンの一般住民を殺害し、罪亡き人々の悲痛な訴えが無視されているのを厳しく糾弾する。(編集部/11月・267号)



    ■非西側陣営の記者は政治殺戮の標的となる
    「報道の自由」という偽善 
    エリック・ドレイツァー(独立地政学アナリスト)


    西側陣営に属さない記者ばかりか、米国主導の世界秩序の内幕を鋭く暴く記者は政治殺戮の標的となる。この指摘は、生活保守意識と右傾化が加速するばかりの日本社会では今や「極左のたわごと」と一蹴され、西側メディアの“国際記者”の多くもこれにお墨付きを与えそうだ。本稿で紹介されている非西側陣営のジャーナリストの死が政治的な抹殺であるのは紛れもない事実と断言できる。米政府は米軍特殊部隊、あるいはその訓練を受けた現地の軍・警察や民兵組織を動かして、日々「反抗する」記者たちを抹殺している。筆者はこれを米国のダブルスタンダードと批判するが、「カラー革命」と呼ばれる体制転換とそれに向けた政治工作はその延長線上にある。本稿は非西側世界の視点に立って、「言論・報道の自由」を再考する機会を付与している。(編集部/10月・266号)



    ■「第4の権力」はほとんど有名無実で機能せず
    プロパガンダ代行する報道機関
    ジョン・ピルジャー(ジャーナリスト)


    本稿は近現代の商業メディアの抱える宿痾(しゅくあ)、あるいはジレンマに真正面から切り込んだ秀逸なメディア論である。エドマンド・バークが18世紀にジャーナリズムを「第4の権力(Fourth Estate)」と定義したのに依拠し、かつて“戦後民主主義の旗手”を自称した日本の記者らは「メディアの任務は権力の監視だ」とことあるごとに語った。だが、その任務遂行に立ちはだかるは2つの大きな障害物があった。1つは言うまでもなく、既存メディアの経営が収入面で広告主(資本)に過剰に依存していること。もう1つは記者クラブという存在が象徴するように主流メディアを権力層に取り込んでしまう巨大なシステムが戦前から構築されていたことだ。筆者は該博な知識を駆使しつつ、イラク戦争をはじめさまざまな現代の欧米メディアの報道ぶりを批判的に紹介して、「我々が今必要としているのは第5の権力だ。プロパガンダを監視、解体し、それに反対して、若者たちに権力者にではなく、一般の人々に奉仕することを教えるジャーナリズムが必要」と訴える。(編集部/1月・268号)


    ※本文は通信上でお読み下さい。





    特集:ベネズエラ情勢・軍事クーデター未遂2月事件

    詳細な情勢分析を邦字で唯一伝える情報源

    ■テレスールの記者が語る“政府転覆”工作の真相
    メディアが伝えなかったベネズエラ反政府暴動の内情
    ライアン&タマラ(テレスール記者)


     2月に軍事クーデターが摘発されたべネズエラでは1年にわたって騒乱が続いてきた。政府による政治的抑圧や民衆の経済的不満から“平和的”抗議デモが続き、それを治安部隊が弾圧、死傷者が出ているという形で国際メディアは報じてきた。本稿は実際にベネズエラの路上でこの1年間、政府転覆工作がどのように展開され、治安部隊や政府支持者の死傷者が、逆に政府による弾圧の犠牲者にすり替えられていったかをテレスールの記者2人が取材し続けてきた報告と分析である。ここでも失われる必要のなかった市民や治安部隊員の生命が工作の犠牲になった。この一連の騒乱ではソーシャルメディアが多用され、ブルガリアの治安部隊や米国のポルノサイトの暴力場面がベネズエラの治安部隊の暴力場面だと一斉に流用され、それを国際メディアが転電するという“役割分担”が繰り返されたことも特徴だった。報道が政府転覆工作に加担する構図が出来上がっていたのだ。この国際メディアの報道を転電することに終始し、街頭に出ても政府への不満を聞きかじるだけの邦字メディアの報道は、もはや犯罪的であるとしか言いようがない。(編集部/3月・270号)


    ■ベネズエラ・ボリバル共和国に対する継続的クーデターの枠組の中で起こされた新たな行動とアメリカ合衆国の干渉に対して、ニコラス・マドゥロ大統領が国内および国際社会に向けて発表した声明(2015年2月13日)

     ニコラス・マドゥロ、ベネズエラ・ボリバル共和国大統領は、民主的に設立された政府を転覆しようというベネズエラの右翼と外国勢力の行為を2014年以来非難してきた。ベネズエラの民主主義に対する暴力的な攻撃は、極右の勢力が行っている。彼らの目的は、民主主義制度の安定を脅かし、わが国で過去15年間に実施された各選挙で継続的に承認されてきた国民の意思を無視して自分たちの計画を強制しようというものである。(以下声明全文)(編集部/3月・270号)


    ■「孤立しているのはベネズエラでなく米国だ」
    米キューバ国交正常化の背景を問う
    ウィリアム・カマカロ(COHAのアナリスト)
    フレデリック・B・ミルズ(ボウイー州立大学教授)


     米国の喉元に突き刺さる棘で「不倶戴天の敵」とされていたキューバとオバマ米政権との国交正常化の動きが急進展しており、それをどう読むかが論議の的となっている。本稿は「米国がキューバとの国交を回復へと動くのと同時にベネズエラに新たな制裁を科したことで、米国の戦略が全般的に変更されたのではないことが判明した」と説明。その上で、南北アメリカ全域の地政学的観点からは孤立し焦っているのは米国であり、米国の動きがベネズエラを中核とする南米諸国の結束をかえって強固にしているとみる。また一時「世界最大の産油国」米国のシェールオイル革命への対抗策との説明が流布されたサウジアラビア主導の石油輸出国機構(OPEC)の原油価格下落の放置説は偽情報で、真の狙いは米・サウジ共同のベネズエラ、ロシア、イランなど反米産油国の経済破綻工作とみる。とりわけ、ボリバル革命運動、すなわち米国支配に抗する南米全域の連帯運動を主導するベネズエラの体制転換こそワシントンの焦眉の課題であると解説する。(編集部/2月・269号)


    ■ベネズエラ体制転換への米国の策動が加速
    繰り返される「覇権国」の政略
    ニル・ニカンドロフ(ジャーナリスト)


     反米主義を毅然と掲げた稀に見るタフな指導者だったチャベス前大統領の死を受け、CIAをはじめ米関係機関は、米国が“悲願”とするベネズエラの現体制転換に向けて準備を着々と整えている。石油価格が急落し、産油国ベネズエラの経済の土台が揺らいでいる。こんな中、ベネズエラ国内への武器の大量搬入、ベネズエラ国境沿いのコロンビア領内での反政府勢力の結集と軍事訓練、有能な若者たちの反政府勢力への勧誘と育成、そして周到に計画に基づき実行される政治虐殺。予想通りとは言え、世界いたるところ、とりわけ裏庭とされた中南米諸国で同じ手法で繰り返されてきた米国の反米勢力掃討の動きがベネズエラ現政権を改めて標的にした。本稿は、世界の目線が新冷戦の最前線となったウクライナの動向に奪われている間隙を縫うかのように進行した「覇権国」の策動をビビッドに伝えている。(編集部/1月・268号)



    ※本文は通信上でお読み下さい。


    アジア記者クラブについて

    日ごろ会えない人や話す機会のない人をゲストに迎え、話に耳を傾け、立場や見解は違っても当事者から意見を聞き、質疑応答する。終了後の名刺交換会ではゲストも交えて議論を深め、ネットワークを構築し、時には難題を抱えている会員の手助けもする。今では、小さいながら事務所を維持し、運営委員会と事務局がAPCの運営に当っています。会員数は、2016年12月1日現在で271名を数え、日本最大の「記者クラブ」に成長した。毎月、定例会リポートを掲載した会報紙「アジア記者クラブ通信」も発行し、これだけ読むためにAPCに参加した人がいるほど好評です。

    日本独特の記者クラブ制度の閉鎖性に異議を唱え、開かれた市民のためのジャーナリズムを創出しようとフリーランサーや市民が議論を始めたのがアジア記者クラブの始まりでした。最初は5〜6人の集まりで、情報を集めたい、真実を知りたいという人が気軽に集まり、肩書きや所属組織とは関係なく議論できる場として猫の額ほどの事務所を間借りしたのが1992年11月。昼間は官民で仕事に就く人たちから、生活苦と闘いながらジャーナリズム活動に希望を見い出していたフリーランサーたちの議論に、企業内ジャーナリストたちも参加するようになった。そこで、毎月1回、勉強と議論の場を持つことになった。それが今日まで毎月開催している定例会(1月で248回)です。

    事実を深く掘り下げ、メディアの情報操作や嘘を監視すると同時に、孤立している企業内記者は支援するという姿勢を維持してきた。ジャーナリズムと平和と人権、第三世界に関心のある方は、どなたでも参加できる本来あるべき記者クラブの原型は、こうして形作られてきました。そうした人たちがいつでも集い、明るく闊達に議論を交わす場はいつでも開かれています。もちろん、議論に耳を傾けているだけの人でも参加できるので、ご安心を。好奇心と議論好きの皆さん、アジア記者クラブに参加して、真実を追いかけてみませんか。

    ■代表委員 現在空席(事務局長が代行)

    ■毎月の定例会と月刊機関誌『アジア記者クラブ通信』の発行(紙版とPDF版)を行っています。どなたでも会員になれます。会員の方には機関誌を1年間ご送付致します。入会をご希望の方は、所属、入会の動機、Eメールアドレス、電話番号(携帯)を明記していただき、年会費(紙版購読会員10,000円/PDF版購読会員5,000円/海外はPDF版のみ)を郵便振替で下記までご入金ください。

    加入者名:アジア記者クラブ/記号:00180-4-709267

    〒101-0061 東京都千代田区三崎町2-6-2 ダイナミックビル5F たんぽぽ舎気付(2015年6月21日に移転) / E-mail:apc@cup.com

    ■問い合わせ
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