アジア記者クラブ



◆◆◆『アジア記者クラブ通信』DTP作業のできるボランティア募集◆◆◆
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毎月1回発行 A4判30〜50ページ程度 薄謝あり
委細面談
連絡先:apc@cup.com






テロ帝国アメリカの実像に迫る


■日時:2020年1月22日(水)18時45〜20時45分
■受付時間:18時15分〜
■会場:明治大学駿河台キャンパス・研究棟4階 第1会議室/★要予約(定員50名)
(東京都千代田区神田駿河台1-1)
■アクセス:JR中央線・総武線「御茶ノ水」下車/地下鉄・都営線「神保町」か「新御茶ノ水」駅下車
■主催:アジア記者クラブ(APC)
■資料代:1500円/会員1000円/明大生無料(要予約)
■ゲスト:櫻井春彦さん(調査ジャーナリスト)

 米国は帝国なのか。米国の国防予算は第2位から第10位の国の国防予算合計を上回り、北朝鮮の国防予算の86倍、イランの120倍の規模にもかかわらず、この両国が脅威だという。米国の命令に従わない「反米国家」には、ボリビアのように大統領殺害も容赦なく画策してクーデターを断行する。ベネズエラには軍事介入の恫喝を行った。
 米国議会は他国の人権を無視してテロ行為や政権転覆を画策しながら、他国の人権状況を監視するとして、中国に対しては香港人権法とウイグル人権法を可決した。これだけ専横を極めながら世界の主流(企業)メディアからはまともな批判が出てこないのが現状だ。
 すでに米国は民主国家などではなく、軍産複合体と諜報機関、ウォール街が一体となった影の政府、国家の中の国家ディープステートが支配する国だと指摘されて久しい。
 1月定例会は、櫻井ジャーナルを主宰している調査ジャーナリストの櫻井春彦さんをゲストにお招きします。米国がどのように影の政府に支配され、「反米国家」に裏ではテロ攻撃を続行しながら表では「人権侵害」を説いているのか、米大統領はお飾りなのか、企業メディアが分析できないテロ帝国アメリカの実情について解説していただきます。
 



★予約⇒お名前、所属、会員の有無、Eメール、電話番号を記載の上、配布資料の準備の関係上、必ず2日前までにEメール(apc@cup.com 宛)でお申込み下さい。返信メールでの承認がなかれば参加できませんので注意願います。






2001年以降の定例会

  • 2019年12月 未開催

  • 2019年11月 エクアドル、チリの民衆蜂起とショックドクトリン(所康弘さん/明治大学准教授)

  • 2019年10月 中国建国70年、目覚ましい経済発展と課題(村田忠禧さん/横浜国立大学名誉教授)

  • 2019年9月 昭和天皇は誰に対して何を反省したのか 田島道治宮内庁長官の『拝謁記』を検証する(山田朗さん/明治大学文学部教授)

  • 2019年8月 イラン核合意破綻、戦争は起きうるのか トランプ政権とイスラエルの狙い(田中浩一郎さん/慶応大学教授)

  • 2019年7月 外交大国キューバと米国の経済封鎖若手 外交官が語る直接民主制への挑戦(クラウディオ・モンソン/駐日キューバ大使館・政務担当書記官)

  • 2019年6月 天安門事件30周年 究明はどこまで進んだのか(矢吹晋さん/横浜市立大学名誉教授)

  • 2019年5月 横田空域と日米合同委員会 なぜ首都圏上空を米軍が管制するのか(吉田敏浩さん/ジャーナリスト)

  • 2019年4月 なぜ「働き方改革」がフェイクなのか アベノミクスと表裏一体の企業ファースト(竹信三恵子/労働経済ジャーナリスト)

  • 2019年3月 なぜ北朝鮮は生き残れたのか 朝米非核化交渉の舞台裏で進む経済改革(文聖姫さん/ジャーナリスト・「週刊金曜日」在籍))

  • 2019年2月 北方領土問題は存在していたのか 主権なき2島返還なのか着地点はどこなのか(岩下明裕さん/北海道大学・九州大学教授))

  • 2019年1月 日韓条約と徴用工問題 日韓会談関連外交文書から読み解く(吉澤文寿さん/新潟国際情報大学)

  • 2018年12月 未開催

  • 2018年11月 沖縄報道を考える 深まるジャーナリズムの危機の中で(山田健太さん/専修大学教授)

  • 2018年10月 明治維新は革命だったのか 朝鮮・中国蔑視の源流、征韓論を検証する(吉野誠さん/東海大学名誉教授)

  • 2018年9月 ケチって火炎瓶事件の真相を語る 安倍首相は暴力団に選挙妨害を依頼したのか(山岡俊介さん/ジャーナリスト)

  • 2018年8月 騙されてたまるか 調査報道の裏側で(清水潔さん/日本テレビ報道局)

  • 2018年7月 なぜ拉致問題は解決済みなのか 日本政府の対北圧力一辺倒と政治利用の果て(金志永さん/朝鮮新報社編集局長)

  • 2018年6月 『総書記 遺された声』と日中関係の将来 日中国交45年目の秘史を読み解く(佐藤祐介さん/NHK大阪放送局ディレクター)

  • 2018年5月 なぜ北朝鮮巡る邦字報道が歪むのか. 金正恩政権と朝米首脳会談後の東アジア(李 柄輝/朝鮮大学校准教授)

  • 2018年4月 加計問題「総理のご意向」 報道は幕引きなのか 朝日新聞記者が権力と対峙した1年を語る(西山公隆/朝日新聞記者)

  • 2018年3月 今なぜ瀬長亀次郎なのか 保革を超えて人を惹きつけたカメジロー(佐古忠彦/TBS)

  • 2018年2月 美濃加茂市長事件は終わったのか. 繰り返された犯人視報道と警察・検察の暴走(郷原信郎/弁護士)

  • 2018年1月 朝日新聞はどこに向かうのか 紙面の迷走を検証する(高嶋伸欣/琉球大学名誉教授)

  • 2017年12月 「国家の共謀」 日本はどこへ向かうのか 経済危機と世界のパラダイム転換を 理解できないマスコミの罪(古賀茂明/「改革はするが戦争はしない」フォーラム4代表・元内閣審議官・元経済産業省官僚)

  • 2017年11月 アジア記者クラブ設立25周年記念シンポジウム ジャーナリズムの再生をもとめて(大治浩之輔/元NHK記者・徳山喜雄/立正大学教授、元朝日新聞記者・萩原豊/TBS外信部、「NEWS23」前編集長)

  • 2017年10月 なぜ日米同盟が基軸になるのか. 対米従属の現代史を検証する(吉田敏弘/ジャーナリスト)

  • 2017年9月 昭和天皇の戦争の何が消されたのか 『実録』の隠されたメッセージ (山田朗/明治大学教授)

  • 2017年8月 元TBS記者のレイプ疑惑、何が問題なのか 問われるべき旧態依然の性意識、官邸の関与(太田啓子/弁護士)

  • 2017年7月 なぜ歴史認識が日中の政治対立に発展するのか 日中全面戦争80年の意味を問う(伊香俊哉/都留文科大学教授)

  • 2017年6月 沖縄で中立な報道があるのか 取材現場で写真家が逮捕される時代を問う(島崎ろでぃー/写真家・報道カメラマン)

  • 2017年5月 米朝対立、朝鮮半島危機をどう見るのか 政府の対北政策、邦字報道を検証する (武貞秀士/拓殖大学大学院特任教授)

  • 2017年4月 朝日新聞阪神支局襲撃事件から30年 赤報隊を生んだ時代状況は変わったのか(樋田毅/朝日新聞社大阪秘書役)

  • 2017年3月 日中戦争・盧溝橋事件から80年 あの戦争は、中国・朝鮮蔑視から始まった(田中宏/一橋大学名誉教授)

  • 2017年2月 国立元市長への個人賠償確定を考える 景観保護が営業妨害なのか(上原公子/元国立市長)

  • 2017年1月 朝日赤報隊のwam「爆破予告」と日本社会 歴史認識の否定が深めるアジアでの孤立(池田恵理子/アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館-wam」館長)

  • 2016年12月 本土の記者は沖縄をどう伝えてきたのか 「基地問題」「沖縄差別」に応えて(川端俊一/朝日新聞記者)

  • 2016年11月 尖閣での日中衝突は起こりうるのか 中国脅威論と翼賛報道を検証する(岡田充/共同通信客員論説委員 趙宏偉/法政大学教授 村田忠禧/横浜国立大学名誉教授)

  • 2016年10月 緊迫するスーダン情勢を考える 自衛隊は火中に飛び込むのか(栗本英世さん/大阪大学教授  栗田禎子さん/千葉大学教授)

  • 2016年9月 メディア最大のタブー日米同盟を検証する 辺野古新基地建設と今も生きる核密約(春名幹男さん/早稲田大学客員教授)

  • 2016年8月 政治主導の武器輸出は成功するのか 稲田防衛相就任で何が変わる(望月衣塑子さん/東京新聞社会部記者)

  • 2016年7月 南シナ海領土紛争を多角的に検証する 国連の仲裁は公正なのか(矢吹晋さん/横浜市立大学名誉教授)

  • 2016年6月 沖縄と本土の溝は埋まらないのか 日本人と本土メディアが直視すべきこと(新垣毅さん/琉球新報社・東京支社報道部長)

  • 2016年5月 戦後政治を終わらせることができるのか 参院選を前に考えておくべきこと(白井聡さん/京都精華大学教員)

  • 2016年4月 沖縄の米兵の性暴力は根絶できるか 米兵事件の被害者が実名で語る(キャサリン・ジェーン・フィッシャーさん)

  • 2016年3月 OurPlanet-TVが伝えたフクシマの5年間 非営利メディアだからできること(白石草/OurPlanet-TV代表)

  • 2016年2月 ベトナム戦争から40年後の現実(中野亜里さん/大東文化大学教授)

  • 2016年1月 ハンギョレが見た安倍政権と日韓関係(吉倫亨さん/ハンギョレ・東京特派員)

  • 2015年12月 日本占領期インドネシアの実像に迫る 戦時性暴力被害、開発独裁と日本(倉沢愛子さん/慶応大学名誉教授)

  • 2015年11月 マスメディアは生き残ることができるのか(青島顕さん/毎日新聞社会部記者・金井辰樹さん/東京新聞政治部長・徳山喜雄さん/朝日新聞記事審査室幹事)

  • 2015年10月 メディアは新自由主義に立ち向かえるのか 日本の極右政権を許容する米国の意図(中野晃一さん/立憲デモクラシーの会・上智大学教授)

  • 2015年9月 テレビ朝日は安倍政権の圧力に屈したのか(岩崎貞明さん/元テレビ朝日記者・『放送レポート』編集長)

  • 2015年8月 朝鮮から「戦後70年」を問い直す 「140年戦争」という視座から(愼 蒼宇さん/法政大学准教授)

  • 2015年7月 東アジアの分断と和解 日中韓朝ロの平和と協調から見えてくる潜在力 (羽場久美子さん/東アジア共同体評議会副議長)

  • 2015年6月 日中間の戦争記憶の乖離はなぜ生まれたのか(長井暁さん/ジャーナリスト)

  • 2015年5月 ボリバル革命17年の歩みを語る ベネズエラは米国の脅威ではない(セイコウ・イシカワ閣下/駐日ベネズエラ・ボリバル共和国特命全権大使)

  • 2015年4月 習近平政権の強硬外交をどう読むのか 反中ナショナリズムと日中関係の危機(矢吹晋さん/横浜市立大学名誉教授)

  • 2015年3月 沖縄戦から70年 県民の犠牲は無駄だったのか 辺野古への新基地建設と安倍政権の暴走(糸数慶子さん/参議院議員・沖縄社会大衆党委員長)

  • 2015年2月 東京新聞は総選挙をどう報じたのか 論点明示報道と新聞の可能性(瀬口晴義さん/社会部長、吉田昌平さん/政治部デスク)


  • アジア記者クラブ(APC)への入会方法

    PDF版購読会員の年会費5千円(紙版は2019年度で廃止)を郵便振替で下記までご入金ください。所属、入会のきっかけ、Eメールアドレスを書き添え願います。『アジア記者クラブ通信』(全頁カラーのPDF版)が毎月送付されます。

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    加入者名:アジア記者クラブ
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    アジア記者クラブ(APC)の目指すもの

    記者会見と記者室の完全開放を求め、全ての取材者に開放された報道センターの設置をアジア記者クラブは提案します。

    既成メディアによる歪曲報道、情報操作、本質を隠す煙幕報道の実態を「アジア記者クラブ通信」(会報)上で明らかにし、批判的に検証します。

    世界のオルタナティブメディアの動向を積極的に紹介し、既成のメインストリームメディアとの違いが相対的に理解できるようにします。読者や視聴者が賢くなるためのメディアリテラシー向上に努めます。

    市民の側に立ったジャーナリストを、企業内、個人、研究者、有志を問わず組織し、連携できるネットワークを構築します。

    オルタナティブな視点をもった民衆のための新しいメインストリームメディアの創出を提案します。





    特集:帝国に奉仕するウイグル・香港報道

    『アジア記者クラブ通信』12月・1月合併(323)号


    ■定例会リポート(2019年9月25日)
    昭和天皇は誰に対して何を反省したのか           
    田島道治宮内庁長官の『拝謁記』を検証する

    山田 朗
    明治大学文学部教授

     この夏の戦争関連報道では、昭和天皇とのやり取りを詳細に記録した初代宮内庁長官・田島道治の『拝謁記』が大きな関心を呼んだ。8月16日にNHKが午後7時のニュースで初報し、17日に「NHKスペシャル」で特集。19日以降、新聞などが取り上げた。『拝謁記』をめぐっては、NHKがスクープ扱いしたのに対し、内容の一部は既出であるとの指摘もなされており、NHK報道への評価はさまざまだが、戦争に対する「悔恨」の念や軍部に対する「下克上」認識、さらには反省の意を公の場で述べることを抑えられたことなどがわかる『拝謁記』の史料価値は大きい。「昭和天皇の戦争『昭和天皇実録』に残されたこと・消されたこと」(岩波書店)など昭和天皇と戦争に関する多数の著作があり、NHKの放送にも協力した明治大学教授の山田朗さんに『拝謁記』を読み解いていただいた。(編集部)


    ■定例会リポート(2019年10月31日)
    中国建国70年、目覚ましい経済発展と課題

    村田忠禧
    横浜国立大学名誉教授

     10月に建国70周年を迎えた中国。同月の中国共産党第19期中央委員会第4回全体会議では、中国の特色ある社会主義を堅持・整備し、国家の統治体系と統治能力の現代化を推進する方針が決められた。毛沢東による革命から改革開放を経て社会主義市場経済を導入し、飛躍的な経済発展を遂げた中国。一方、米国などを中心に「中国異質論」が盛んに展開されている。2001年の世界貿易機関(WTO)加盟などによって国際社会は「ステークホルダー」の一員として中国を迎え入れたにもかかわらず、共産党独裁体制や人権状況などは変わらず、価値観が根本的に異なるという論法だ。中国への期待感自体が誤ったものだったとして、こうした異質論が大手を振るに至った。ペンス米副大統領の一連の演説はその象徴とも言える。この70年、中国はどのように歩んできたのか。中国に関する著書が多数あり、見聞の深い横浜国大名誉教授の村田忠禧さんにお話をうかがった。(編集部)


    ■新疆ウイグル自治区
    過激派ウイグル人を操る西側
    マスコミは分離派の宣伝機関
    最終目標は中国の全ての破壊

    アンドレ・ヴルチェク
    調査報道ジャーナリスト

     「中国はウイグル人を弾圧している」と毎日のように何年にもわたり西側主流メディアが刷り込んできた報道によって読者や視聴者の多くが反中感情を高めてきたはずだ。その一方で、「弾圧」の具体的な現場を取材したり調査した記者は誰もいない。怪しげなNGOが典拠を示さずに発表した出所不明の情報の転電ばかりなのである。本稿は、特定の国や団体をテロ指定する米国を頭目とした西側が水面下ではテロ支援をどのように組織し、新疆ウイグル自治区で宗教を武器に反中国キャンペーンを展開しているのか、その手口と武装工作の実態を告発した調査報道記録である。筆者は、ワシントン、ロンドン、ブリュッセルの各国政府がウイグル人分離主義者をシリアなどの戦場で残忍な死臭ただよう過激派に仕立て上げ、中国国内に戻して拡散・拡大させている暴力と破壊に対して、中国の自己防衛は義務であると説き、真実を語る義務のある世界中の知識人が沈黙を守り、お金や特権のために自分の尊厳を売り渡している現実を非難する。(編
    集部)


    ■新疆ウイグル自治区
    ウイグル人の弾圧報道が覆い隠すテロ活動
    根拠なしニューヨーク・タイムズの「内部資料」

    トニー・カータルッチ
    地政学分析家、記者

     NYT紙による大々的なイスラム教徒のウイグル族弾圧の証拠とされる「内部資料」報道(11月16日)が何の検証も受けずに邦字メディアによって“スクープ”扱いで一斉に転電された。米下院本会議では12月3日、ウイグル人権法が賛成407、反対1で可決された。本稿は、米政府とNYT紙が抑圧的な「大量収容」していると中国を断罪する主張が立証されていないだけでなく、マスメディアを含む米国社会がウイグルの状況を故意に偽って逆にテロ活動を隠蔽していることを告発する。筆者は、新疆ウイグル自治区でのテロ活動のスポンサーが米国であることを明らかにした上で、虚構の「テロとの戦い」で世界中に暴力を拡大させている米政府の片棒を担いでその権益を代弁しているNYT紙にジャーナリズムが存在していないと断を下す。(編集部)


    ■香港暴動
    反中国で目が曇った香港報道
    住民の不満は貧困と住宅難に
    英植民地負の遺産との戦い

    キム・ピーターセン
    『ディシデント・ヴォイス』元共同編集者

     香港騒乱は、今年3月に起案された逃亡犯条例が香港の住民を北京政府の「恣意的思惑」で拘束できるかのようなデマから始まった。2018年2月に台湾で発生した殺人事件をきっかけに、中国大陸、マカオ、台湾の間で刑事犯の引き渡しができなかった手続きを可能にするのが立法趣旨であった。本稿は、香港行政府が6年前に米国のエドワード・スノーデン引き渡し要求を法的手続きの不備を理由に拒んだ事実、その一方で在英エクアドル大使館に亡命中のジュリアン・アサンジの米英による拉致に等しい身柄引き渡しとの矛盾、香港の書店主失踪事件や中国の人権派弁護士逮捕事件を俎上にあげながら、香港を舞台に、完璧な正義や言論の自由、検閲の是非がどのように位置づけられてきたのかを比較検証した論考である。さらに筆者の問題提起は多岐にわたる。CIAと連携しているNEDが抗議運動に資金提供するなどしている介入の無視、中国在住の筆者による西側メディアと西側知識人が言い立てる中国に民主主義がないという言説への反論、香港が抱える問題が民主化でなく貧困と住宅難を放置してきた行政府の不作為にあること、全く統治システムが違う国が100年間にわたり植民地統治した負の遺産との困難な戦いの意味を問い、筆者は香港騒乱を考える上で必要な判断材料を提供する。(編集部)


    ■香港暴動
    中国の主権侵害を香港問題で当然視する西側
    移転の動きで金融ハブの地位も動揺か

    ピーター・ケーニヒ
    地政学分析家、エコノミスト

     11月の香港区議会選挙では「民主主義を擁護する」投票結果が出たにもかかわらず、香港政治ではあまり重要でない区議会議員選で、なぜ18区議会で479議席のうち452議席(71%)を「民主派」が押さえたのか既存メディアからは今もって全く説明がない。本稿は、いかに道理に反する事態が波状的に香港で発生しているのか、それに歯止めをかけるどころか、西側マスコミが中国の主権侵害を当然であるかのように報道する異様な事態が何ひとつ香港のためにならないことを明らかにする。筆者は、区議会選で多額の資金を投入した西側諸国が選挙コンサルティング会社を介在させ、米議会が他国領土を支配するような「香港人権・民主主義法案」を圧倒的多数で可決し、香港が第二の米領プエルトリコになることを星条旗を振って歓迎する「民主派」の言動を愚行だと説く。今回の騒乱による北京政府を不安定化させる米英寡頭支配層による目論見は挫折するだけでなく、騒乱が香港の金融ハブとしての地位を低下させていると筆者は断言する。(編集部)


    ■香港暴動
    香港の抗議行動にうごめく
    ウクライナのネオ・ナチ
    どこが「民主化」なのか

    ベン・ノートン
    ジャーナリスト

     今春から続く香港暴動を平和的な民主化運動だと称賛する日欧米の商業メディアは、ウクライナの合法政権に対する2014年のクーデターも「民主化」だと肯定してきた。本稿は、香港の抗議行動にウクライナの政権転覆屋が公然と参加している証拠を列挙し、香港の反中国活動家が、世界中の右翼的で米国を後ろ盾とする他の運動と密接な同盟関係を構築していることを告発する。筆者は、香港を植民地のごとく扱う独裁政権であるかのように中国を批判する西側政府や商業マスコミが香港暴動を「民主化」と称揚しながら、実際には「反米国家」への政権打倒工作を担っている偽善ぶりを指弾する。(編集部)



    【編集後記】

     322号と前後して先に323号を先にお届けします。12月配信と1月配信の合併号になります。いろいろな事情が重なり発行が前後したことをお詫びします。当面、現在のレイアウトでの提供は今号が最後になります。ご承知おき願います。▼巻頭は9月定例会での山田朗先生の報告です。春先の改元と天皇の代替わり、秋の新天皇の即位の年に提起された『拝謁記』(田島のメモ全体ではなく、NHKが公開した場面のみになるが)をどう読むのか、2年前の9月定例会で『昭和天皇実録』をテーマに山田先生に講演(301号に講演録掲載)していただいたこともあり、連続して昭和天皇の戦争責任について検証したかったので、今回も山田先生から重要な視点を提供いただいたと考えています。▼『拝謁記』の中で昭和天皇は、張作霖爆殺(1928年6月)の責任を田中義一首相(陸軍大将)に負わせなかったことを悔いていますが、田中は1年前の6月に、不拡大方針を唱えた若槻礼次郎首相の退陣を受けて首相に就任し、山東出兵に踏み切った当事者でもあります。この両事件の責任が田中にはあるのは明白なのですが、昭和天皇が言及しているのか、全文公開を待ちたい。鶴見俊輔が1956年に満州事変から始まる日本の「15年戦争」を提起したことは有名ですが、池田浩士京都大学名誉教授は、この山東出兵から日本の敗戦までを「18年戦争」と呼んでいます。▼村田忠禧先生に定例会に登壇いただくのは3回目(13年8月定例会と16年11月定例会)になります。過去は尖閣(釣魚)の領有権問題に関係した内容だったのですが、今回は先生の本来の研究テーマである中国共産党史と重なる中国建国70年をどう見るのかという日本の中国観に関わる核心について報告をお願いしました。とくに既存メディアの基調がそうなのですが、事あるごとに唱える一党独裁批判が的を得ているのか検証しておきたいと考えました。▼9月定例会での村田先生の報告は、323号の特集とも密接に関係してきます。一党独裁制の反対語は複数政党制です。複数政党制の日本の民主主義が成熟しているのかというとお世辞にも程遠いのが実態です。その内実は形式的手続きだけが機能しているだけで、政治への無関心が蔓延し、安倍首相による警察官僚を使った独裁的色彩が強い統治スタイルが続いています。一党独裁批判が日本社会のネガティブな現象や事件を「中国よりマシだよね」ということで免罪にする役割を担っているのではと感じています。▼キム・ピーターセンも訳出稿で「何年も中国に住んでいるが、ここではどこにいても同じように自由を感じる」と書いています。320号の天安門事件特集号で訳出した在中国のラリー・ロマノフも同様の経験を語っています。日本では大学生が街頭で「安倍辞めろ」と叫んだだけで、6~7人の公安に取り囲まれたり、問答無用で聴衆の輪の外に両手足を引っ張られて連れ出されるのが今日の日本の姿です。有名な話ですが、ドイツでは東独出身のメルケル首相が旧東独地域に行けば、「裏切者」「帰れ」などの怒号やヤジが飛ぶことは珍しくありません。叫ぶだけなら言論・表現の自由で、警官が詰め寄ることは全くありません。▼322号で訳出しているのですが、『グレイゾーン』編集長マックス・ブルメンタールが10月25日、半年前に駐米ベネズエラ大使館を不法に占拠したグアイド派に抗議する米国市民の大使館包囲行動を執筆した記事が「単純暴力」に当たるとして、自宅に押し寄せた警官に手足を拘束され、2日間、弁護士や家族とも接見が許されない事件が起きた。未開のジャングルでの出来事ではなく、ワシントンDCでの出来事だ。在米の主流メディアも邦字メディアも、この米国のファシズムには批判はおろか、全く言及していない。根拠なく中国が独裁国家だ、自由がないと連呼することには熱心な既存メディアの二重基準ではないか。▼中国の監視カメラ報道もバイアスの典型ではないか。日本では「防犯カメラ」と言い換えているが、機能は全く同じで、多発する交通違反を取り締まる目的で日本から中国に導入されたことから中国で普及した。確かに監視にも使われているが、それは日本も米国も同じではないか。どこが違うのか。新疆ウイグル自治区の監視カメラが槍玉に上がるが、ヴルチェクやカータルッチの訳稿でも明らかなように、自治区に侵入する武装勢力やテロ活動が活発化しているのだから当然ではないか。「登録されている人間ならば、その人間がどこにいるのか、何時何分にどこを通ったのか、都内ならすぐに分かる」と公安警察から聞いたのは数年前のことだ。▼朝日新聞の国際報道部のツイッターを購読していることもあって見るのだが、ウイグルと香港も含めて国際面に閉口している。「人間は固定観念に囚われやすい」と述べたのはウィンストン・チャーチルですが、事実に基づいて、根拠があるのならば是々非々で中国報道も行っていいと思うのですが、歪みやバイアスが国際報道では全メディア共通する現象で、リベラル知識人や左翼も同様、思い込みと読み間違いが続く。その理由は今号の5本の記事を読んでいただければご理解いただけると思う。▼10月定例会で中央大学の教員から北海道大学の岩谷將教授が中国で拘束されている事件(現在は解放)について、学術交流に影響が出るとの批判的な質問がありました。スパイ容疑であることは中国当局から発表がありましたが、岩谷教授は防衛研究所戦史部の教官が前職。中国の情報機関についての論文もある方で、文学研究者ではない。文書の受け渡し場所を押さえられたということだからマークされていたのだろう。日本人で勘違いする人がいるのですが、外国で日本と同じ感覚で公開情報(文書)が手に入ると思っていると今回のように間違いが起きる可能性が強い。中国側も逮捕した時点で容疑を明かすなど、司法手続きをもっと透明化すべきだ。▼特集の話に戻ると、村田先生も言及しておられることですが、中国の少数民族対策を日本は見倣った方がいい。中国は中国人の存在とは関係なく、国際報道にも力を入れています。日本は事故でも地域情報にしても日本人がいないと全く言及しない。この国際報道の貧困が日本を国際情勢音痴にしている原因ではないか。日本が「18年戦争」を始めた最大の理由は、中国のことを表面的にしか見ず、偏見に凝り固まり理解していなかったからだ。▼それと日本の親や祖父の七光りで政治家になった苦労知らずのボンボンと、勉強と苦労を重ねてきている中国の政治指導者とでは質が違いすぎることだ。次期主席と首相かと呼び声の高い陳敏爾氏や胡春華氏のような質の高い為政者が日本にはいつ登場するのだろうか。(森)


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    特集:天安門事件30周年

    『アジア記者クラブ通信』9月(320)号

    ■6月定例会リポート(2019年6月26日)
    天安門事件30周年
    真相究明はどこまで進んだのか

    矢吹晋(横浜市立大学名誉教授)


     民主化を叫ぶ学生らが中国当局に武力弾圧され、死者も出た天安門事件の発生から6月4日で30年の節目を迎えた。この事件は日中国交樹立(1972年)以来続いていた日中友好ムードに冷や水を浴びせ、対中好感度を急降下させた。元学生リーダーや犠牲者の遺族らも真相解明と責任追及を求める声を上げ続ける中、学生運動を「反革命暴乱」と規定した李鵬元首相が7月に死去し、事件の記憶はさらに薄れかねない。謎の一つとされてきたのが、政権側の認定と一部の推論で差がみられる犠牲者数と人民解放軍兵士の死傷者数の多さ。6月9日のNHKスペシャル『天安門事件 運命を決めた50日』では、これまでの犠牲者数への拘泥や小平発言の真贋に関わる検証が曖昧なまま放映されるなど問題点が少なくなかった。あの日、広場とその周辺で何があったのか。発生当初から丹念に情報を集め、『天安門事件の真相』(蒼蒼社・上下巻)などの著作も多数ある横浜市立大名誉教授の矢吹晋さんに、NHKスペシャルの問題点も踏まえて実相を語っていただいた。(編集部)



    【中国】
    反中キャンペーンの側面にも目を向けるべきだ
    天安門事件をアジア分断の芽にするな

    ジョゼフ・トーマス
    「ザ・ニュー・アトラス」編集長

     タイを本拠地とする地政学誌「ザ・ニュー・アトラス」編集長で、オンライン雑誌「ニュー・イースタン・アウトルック(NEO)」に論評を寄せる筆者は、30周年を迎えた天安門事件を新たな視点からとらえ直している。民間の内部情報告発サイト「ウィキリークス」が暴いた米外交文書などを使って、西側諸国と大手企業メディアが、人権や民主主義を掲げながら反中キャンペーンを繰り広げてきた側面が強い点に注意を喚起している。(編集部)


    【中国】
    天安門事件30年目の真相
    虐殺されたのは兵士だった
    失敗した米国のカラー革命

    ラリー・ロマノフ
    雑誌編集者、在中国

     8年前にウィキリークスが暴露した北京の米国大使館から国務省への1989年6月4日の外交電文には「学生運動が平穏に打ち切られ、暴動は起こらず、天安門広場での学生虐殺がなかった」と記載され、「戦車に学生が踏み潰された」と世界各地で涙ながらに訴えていた広場の“最高司令官” 柴玲が当日、天安門広場からの逃走ルートの途上にあり、この証言自体が不可能であったことが明らかになって久しい。それにも関わらず執拗に学生と市民の虐殺キャンペーンが続けられてきた。本稿は、関係する膨大な文献資料、影響力のある数多の報道、事件のドキュメンタリーの数々を検証した上で、自発的であったと言われてきた労働者の反乱、学生の抗議運動の実態を明らかにし、事件の黒幕の存在を突きとめた天安門事件検証の決定版ともいえる調査報道の記録である。中国で2500人を超える天安門事件関係者への聞き取り調査を行ってきた筆者は、木樨地で発生した武力衝突の実情が人民解放軍兵士の虐殺であったことを再現した上で、天安門広場での「虐殺」というカラー革命に失敗した米国が30年間にわたって中国を休みなしに非難するためには、「広場での虐殺」という虚構が存在した“事実”だと西側の人々の意識に信じ込ませる必要があったのだと告発する。その片棒を担ぎ続けたのが日欧米の主流メディアであったことは言うまでもない。(編集部)


    【メディア】
    欧米主流メディアをボイコットせよ!
    独立メディアを支援せよ!

    エリック・ズース
    ライター、調査歴史家

     邦字メディアの外信部、国際報道部の主要業務が欧米主流メディア(MSM)の転電作業であることは広く知られたところである。報道のワシントン偏重が代表例だが、MSM信仰と対照的に非欧米諸国メディアへの蔑視、独立メディアの奮闘を歯牙にもかけない姿勢は目に余る。それは表層的でパターン化した国内報道の劣化と決して無関係ではない。本稿は、米帝国と手を組むMSMが望ましくないソーシャルメディアの排除をせっせと行っている現状を踏まえて、MSMの所有者がいずれも億万長者で、MSMが彼らのプロパガンダラインの“行商人”に過ぎないことを告発する。筆者は、独立メディアの仕事ぶりと企業“ニュース”メディアのくだらない仕事ぶりとを比較した上で、前者の優秀さが存分に示されている現状を読者と視聴者に訴える。(編集部)





    【編集後記】

     天安門事件特集をお届けします。矢吹先生の定例会報告は、遺言とおっしゃっておられただけに渾身を込めた内容でした。ジョゼフ・トーマスの論考は6月定例会前に訳出し終えて本号に矢吹先生の報告と併せて掲載する予定でいたところ、9月下旬にラリー・ロマノフの論考が発表されたので特集を組むことにし、訳出依頼しました。この3本が事実関係を補完し合うだけでなく、とくにロマノフの論考は、当時の労働者の反乱と学生運動の性格、香港を拠点にした米国の工作の実態、柴玲ら学生指導部の役回りとVOAの影響を体系的に解説し、何より木樨地で発生した武力衝突の実態を解明する上で重要な判断材料を調査報道で提供していると判断しました。▼『天安門事件の真相』(蒼蒼社・上下巻)は現在、アマゾンの古本ルートでも手に入りません。NHKスペシャル『天安門事件 運命を決めた50日』を制作するにあたり、取材を受けた矢吹晋先生と村田忠禧先生は「手に入らなくなった資料を全て提供した」とのこと。しかし結果は、番組クレジットに「取材協力」と書かれただけで、「Nスペの骨子は我々の本に書いた通りだから、➊『クライシス』シリーズに基づく。➋近年情報公開された英外務省報告で、その内容が裏付けられた、と説明するのが、多分正当な扱い方」だと矢吹先生は定例会リポートの中でディレクターの姿勢を批判しています。現役のNHKディレクター、OBの方はどう思われるでしょうか。▼NHKが英外務省の報告書を発見したら新しい事実が判明したと大々的に宣伝したけれど、その分析はすでに30年近く前に矢吹先生や村田先生が解明済みのストーリーで、NHKのディレクターは手渡した数多の資料を読んで知っていたのだから、番組内で発表する場合の筋やモラルを矢吹先生は指摘されたわけです。『アジア記者クラブ通信』掲載の訳稿を資料にして論文を書いているのに訳出出典を一切明示せず、原文すら読んでいないのに原文を出典にしていた大学教授もいましたが、同じレベルなのではないか。NHKのディレクターは「弱者を踏み台にした」、「良いとこ取り」の誹りは免れまい。▼今回のNHKスペシャル事件のようなケースは、外部から何かと便宜を図ってもらえ、何でも取材先から無償提供してもらえる親方日の丸の大組織にいる人間には分からないのか。これでは蒼蒼社に限らず、弱小団体はもたなくなります。苦労したことがないから無神経なのだと判断せざるをえない。▼番組内で英国の機密資料の「共産党内部のリーク」情報だけに依拠しながら小平が発砲をけしかけたという「200人の死が、中国に20年の安定をもたらすだろう」発言を確定情報として既定路線化するのは無理があるのではないか。少なくとも他の文献など複数ソースからのクロスチェックが必要なはず。簡単に済ませているが、誤報なら懲戒対象になるくらいの重大事案だと思いますが、そもそも英国は天安門事件の犠牲者数1万人を主張している国。英国の言う通りなら中国政府が9700人の死者を隠していることになります。暴動扇動者の香港脱出にも英国諜報機関が手を貸した。Nスペの基調は、ロマノフの調査報道とは真っ向から対立していることも忘れてはならない。▼今年6月の天安門事件報道は、NHKからキー局までテレビは天安門の前を車で通りながら「警備が厳重です」のパターン。「虐殺」情報の引用だけ。新聞の論調も同じだったのではないか。違うという論調があれば教示願いたい。邦字メディアの国際報道の殆どが目に見える体験を語るパターンになって久しいかと思います。「すごい」「ひどい」など感嘆詞で表現できるような記事が余りに多い。香港報道が典型ですが、殴った蹴ったヒドイという表層的な路上での観察記事ばかりが目に付く。あとは欧米主流メディアの孫引き。天安門事件報道共々、ロマノフやズースが指摘するように帝国の思惑通りに御用報道していることに気づいていない。▼『天安門事件の真相』(上巻)の『はしがき』に天安門広場での「虐殺」情報が反面教師として東ドイツ(東独)人民を助けたとの記述があります。1989年10月1日の国慶節の式典(軍事パレードは中止)に東独はクレンツ国家評議会副議長を団長とした訪問団を派遣し、江沢民総書記と英語で会話を交わしたという記事を当時読んだ覚えがあります。10月7日には東独は建国40周年記念式典を行いましたが、首都ベルリンはじめ全土に広がる民主化デモに対して、ホーネッカー国家評議会議長は武力鎮圧(発砲許可)を指示していました。▼治安担当書記も兼任していたクレンツを議長に、ディッケル内相、シュトレーレツ国家人民軍参謀総長、ワーグナー人民警察長官が当時、武力行使の是非を協議した記録が残っています。軍の投入は発砲以前に、徴兵で銃が扱え、戦車や装甲車の窓を塞ぐ市街戦の訓練を受けた市民との間で流血の惨事を招くのは必定として平和裏に対応することを会議では確認しています。この協議は10月18日のホーネッカー解任につながりますが、記録に言葉はないものの、天安門事件の情報が念頭にあったのではと推察しています。▼来月のベルリンの壁崩壊30周年の話題が邦字メディアの映像や紙面を飾るのだろうが、天安門事件報道を見る限り、全く期待できない。記者やデスクに蓄積がなさ過ぎる。定例会でも取り上げたかったのだが、統一ドイツ時代だけではなく、東西ドイツの時代と両国の建国にも熟知した適任のゲストがおらず、読者の関心も低いことからペンディングにしている。▼独紙では東独(DDR)とはどういう国だったのか、崩壊理由を世界経済や新自由主義との関係、ソ連との関係の中で検証したり、多くの論考や回想、インタビューが登場していることからも関心が高い。10月7日のDDR建国70周年記念集会では、「DDR消滅が現在のドイツの右傾化と格差拡大、福祉の切り捨て(自己責任化)に拍車をかけた。DDRは現代ドイツ史の中で唯一の平和国家だった」とハンス・モドロウ元DDR首相がビデオ演説していました。価値観は画一的ではない。▼ズースが推薦しているオルタナティブ・メディアのリスト一覧は本通信が参考にしている独立メディアのリストとほぼ重なります。何を見ているのかという方への返信にもなるかと思っています。319号の香港特集、320号の天安門特集とセットで10月定例会の村田先生の報告も位置づけています。是非ご参集願います。(森)

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    特集:帝国、新自由主義への民衆反乱

    『アジア記者クラブ通信』10月(321)号

    ■定例会リポート(2019年7月24日)
    外交大国キューバと米国の経済封鎖若手外交官が語る直接民主制への挑戦

    クラウディオ・モンソン
    駐日キューバ大使館 政務担当書記官


     今年は日本とキューバが外交関係を樹立して90年。キューバにとっては社会主義革命から60年の年でもある。左派・中道左派政権の退潮がみられる中南米にあって、大カリスマの故フィデル・カストロ議長がトップを退いた後も社会主義体制を堅持しているキューバ。外交関係では敵視されてきた米国とはオバマ政権時代の2015年に国交を回復したものの、トランプ政権の登場で状況は逆戻りし、制裁が強化されている。経済的な支えだった旧ソ連の崩壊というショックも乗り越えたキューバには現在、盟友ベネズエラの騒乱状態も暗い影を落とす。4月に新憲法が施行されたこの国は、どう変わっていくのか。駐日キューバ大使館政務担当書記官のクラウディオ・モンソンさんに日本語で現状を中心に語っていただいた。(編集部)




    ■エクアドル
    金融虐殺の主犯はIMF
    エクアドルでは民衆蜂起
    借金漬けの手口はこうだ

    ピーター・ケーニッヒ
    地政学アナリスト、エコノミスト


     エクアドルではIMFが主導する緊縮政策に怒りを爆発させた先住民が10月中旬、首都を制圧し、前政権の進歩政策をことごとく覆してきたモレノ政権に緊縮政策を撤回させた。本稿は、IMFがワシントンの指令に基づいて米国の命令に従わない国を標的にして、対象国を必要のない借金漬けにし、公共サービスを民営化することで、基軸通貨ドルの管理の下、資金と資源を収奪する犯罪システムが存在していることを告発する。筆者は、ブレトンウッズ体制の美辞麗句の下でIMFが世界銀行の支援を受けているだけでなく、CIAやNED(全米民主主義基金)と一体となって“反米政権”を転覆し、強奪まがいの新自由政策への転換を後押ししてきた実態を白日の下に曝す。(編集部)



    ■経済
    国際通貨基金と世界銀行
    世界をドル支配する道具
    米帝国を支える金融秩序

    マイケル・ハドソン
    エコノミスト


     ベトナム戦争での敗北以降も戦争を続け、ソ連邦が崩壊した一方で、双子の赤字でも崩壊しなかった米帝国。一部の富裕層富が集中する世界秩序がどのように維持されているのか、膨大は出費を強いられる戦争を継続しながら、なぜ米国は倒れないのか。本稿は、そうした疑問に加え、米国がIMFと世界銀行を使って緊縮財政を第三世界に押しつけながらドルを還流させているシステム、なぜドル決済でなければならないのか、銀行に支配される西側諸国、巨額の政治献金で堕落する欧米政府、機能しない議会制度、米中経済戦争が金融経済に移行した米国とポスト工業化を回避できた中国の対立であることなど世界金融秩序の舞台裏について、マルクス経済学者のマイケル・ハドソンが明快に解説した対話録である。ハドソンは、新自由主義が世界をいかに蝕み、収奪してきたのかを手に取るように明らかにしてゆく。(編集部)



    ■中国
    ”上から目線“の西欧諸国には脅威
    長期間をかけ中国追い落としを狙うか

    アンドレ・ヴルチェク
    調査報道ジャーナリスト


     中国は西側世界と本当に競争していくようになるのだろうか。現在の西側のシステムは何百年にわたり、恐怖、圧政、残虐な暴力に立脚して構築され、自分たちだけで独占する仕組みを維持してきた。本稿は、欧米諸国よりも速いペースで、またしばしばより高い品質で、生産し続ける中国に対して、命令を下す立場から脱却できない欧米諸国のジレンマが力で押さえつけることのできない中国への貿易戦争となって噴出している現状を分析した論考である。筆者は、中露両国がその気になれば、米国の経済、あるいはおそらく西側世界全体の経済を1週間内に傾かせることができるだろうと語る。(編集部)



    ■北朝鮮
    経済制裁の打撃受ける年少者や女性
    朝鮮向け人道的措置を阻む厚い壁

    ダニエル・ラリソン
    「米国保守主義者」誌・編集デスク


     米朝関係は再び膠着状態に陥りつつある。相次ぐトランプ・金正恩両氏の首脳会談で個人的「信頼関係」が結ばれたと強調される中で、実務協議は進展していない。米国側では対朝鮮制裁網の維持・強化論が蒸し返されており、日本の安倍政権も同調している。朝鮮側は短距離ミサイル試射を続けて日米韓同盟の亀裂を誘いながら、来年の米大統領選挙をにらんで大陸間弾道ミサイル試射と核実験を手控えつつ、年内に期限を設定して米側に制裁解除などに踏み切るよう決断を求めている。韓国の文在寅政権は2018年2月の平昌冬季五輪開催時に800万ドルの食糧支援を国際機関を通じて送ると平壌および国際社会に訴えたが、この人道支援提案は棚ざらしされたままだ。韓国内には日本が「人道支援カード」で韓国外交を妨害しているとの不満も出ており、植民地統治の責任を求める「歴史カード」への圧力を高める一因にもなっている。来年2020年に、果たして人道上の措置を皮切りに対朝鮮制裁の緩和が始まり平和構築が進むのか、逆に米朝首脳対話開始前の2018年初めの冷たい関係に戻ってしまうのか。そもそも経済制裁の効果や影響は実際にどのような結果をもたらしているのか。トランプ現政権に批判的で保守本流をうたう米誌の編集者が問題提起をしている。(編集部)



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    アジア記者クラブについて

    日ごろ会えない人や話す機会のない人をゲストに迎え、話に耳を傾け、立場や見解は違っても当事者から意見を聞き、質疑応答する。終了後の名刺交換会ではゲストも交えて議論を深め、ネットワークを構築し、時には難題を抱えている会員の手助けもする。今では、小さいながら事務所を維持し、運営委員会と事務局がAPCの運営に当っています。会員数は、2016年12月1日現在で271名を数え、日本最大の「記者クラブ」に成長した。毎月、定例会リポートを掲載した会報紙「アジア記者クラブ通信」も発行し、これだけ読むためにAPCに参加した人がいるほど好評です。

    日本独特の記者クラブ制度の閉鎖性に異議を唱え、開かれた市民のためのジャーナリズムを創出しようとフリーランサーや市民が議論を始めたのがアジア記者クラブの始まりでした。最初は5〜6人の集まりで、情報を集めたい、真実を知りたいという人が気軽に集まり、肩書きや所属組織とは関係なく議論できる場として猫の額ほどの事務所を間借りしたのが1992年11月。昼間は官民で仕事に就く人たちから、生活苦と闘いながらジャーナリズム活動に希望を見い出していたフリーランサーたちの議論に、企業内ジャーナリストたちも参加するようになった。そこで、毎月1回、勉強と議論の場を持つことになった。それが今日まで毎月開催している定例会(1月で248回)です。

    事実を深く掘り下げ、メディアの情報操作や嘘を監視すると同時に、孤立している企業内記者は支援するという姿勢を維持してきた。ジャーナリズムと平和と人権、第三世界に関心のある方は、どなたでも参加できる本来あるべき記者クラブの原型は、こうして形作られてきました。そうした人たちがいつでも集い、明るく闊達に議論を交わす場はいつでも開かれています。もちろん、議論に耳を傾けているだけの人でも参加できるので、ご安心を。好奇心と議論好きの皆さん、アジア記者クラブに参加して、真実を追いかけてみませんか。

    ■代表委員 現在空席(事務局長が代行)

    ■毎月の定例会と月刊機関誌『アジア記者クラブ通信』の発行(紙版とPDF版)を行っています。どなたでも会員になれます。会員の方には機関誌を1年間ご送付致します。入会をご希望の方は、所属、入会の動機、Eメールアドレス、電話番号(携帯)を明記していただき、年会費(PDF版購読会員)5,000円を郵便振替で下記までご入金ください。

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